神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“フランケン”って呼ばないで!

 東宝特撮映画『フランケンシュタイン対地底怪獣』に登場する、通称“東宝フランケンシュタイン”。この映画の特徴は、姉妹編の『フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ』における着ぐるみ怪獣とはことなり、生身の人間が当時の技術レベルでの“特殊メイク”を施してはいるものの、ほぼ己の肉体を晒したまま演じている点に尽きる。

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 この“フランケンシュタイン”役を実写パートから特撮パートにわたり、果敢に演じたのが古畑弘二なる人物である。彼(とは云ってもうんと年上だけど……)がこのフランケン役を演じることになったいきさつは、一般人であった彼を、「フランケンシュタインに似てる」と石原慎太郎東宝に紹介したのがきっかけと、今までまことしやかに語られ続け、故に最初の出演作が余りにもハードだったので、以後古畑氏は映画(俳優稼業)を敬遠してしまった、との風説が長く信じられてきた。

 しかしなから、実際は、古畑弘二氏はもともと劇団四季の劇団員で、『二十歳の恋』『明日への虹』といった作品に主演クラスで出演していたものの、難聴により台詞が思うようにしゃべれなくなった為に役者引退を決意。しかしながら折も折、東宝で『フランケンシュタイン対地底怪獣』が撮られることになり、『二十歳の恋』を監督した慎太郎から「フランケンに似てる役者がいる」との評判を聞きつけた東宝特撮スタッフより出演を懇願され、「引退前に1本なら」と出演を快諾した、といういきさつがあったらしい。現場でも、特に特撮のシーンでは着ぐるみのバラゴン(中島春雄!)との絡みで傷が絶えず、それでもやり通した役者魂を見せつけるエピソードが残っているようだ。

 それにしても『フラバラ』における古畑氏は、オフショットを含め全てフランケンのメイクを施されたものばかりで、素の古畑氏を見る機会などないものだと思っていたが、実は上記の『明日への虹』に関しては、古畑氏の熱狂的なファンを自認する某著名人がネット上にUPしていて、今も観賞することが可能だ。

 この作品で古畑氏は有名なカメラマン役で登場するんだけれど、うなり声ばかりだった後の“フランケン”演技とはことなり、主役の若いカメラマンを実に爽やかに演じていたよ(;^_^A 台詞もとっても多かったし(^^) まずは一度御覧になっていただきたい。すると逆に「よくあんなキャラクターを演じたモノだ」と思えるようになること受け合いである(;^_^A

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 それにしても、今まで「フランケン」出演が全てだったと思っていた彼が、本当が青春スターだった、というギャップ……それがまた彼のいい意味での魅力になっているのだと思う。もう芸能界を離れて久しいことだろうが、何かの機会で是非一日だけの“電撃復帰”を果たしてもらいたいなぁ……、