TVと映画の“競争”の先に……
過日、映画『「小さき闘い」より 敗れざるもの』の感想を書いた(「時を超えて『「小さき闘い」より 敗れざるもの』」 https://blogs.yahoo.co.jp/jinguji_ipf_s1986/28846643.html)が、この映画には、タイトルにもあるように「小さき闘い」という原作があって、しかも同名のTVドラマが映画に先駆けて放映されていた(というか、映画はTVドラマの反響によるリメイク)。さすがに同じ原作(しかも著者は慎太郎)だけあって、両方ともほぼ違いのない展開だった(劇中、病室から俊夫を裕次郎演じる橋本が連れ出すシーンでは、負ぶって出掛けるTV版に対し、映画版の方はさすがにスタジオではない、自動車で向かうオープンのロケに変わっていたりするけれど……)
しかしながら、今回初めてこのドラマを観て印象的だったのは、その映像の“古めかしさ”に尽きる。別に演出や演技が古めかしいのではなく、ズバリ映像そのものの古さだ。白黒であるのは当然として、画面の荒さ、不安定さなど、それこそ“TV黎明期”のような雰囲気だった。時にして1964年、その頃の邦画、とりわけよく見る日活無国籍アクションなんて、それよりも昔の作品なのに、鮮やかな総天然色で映像には文句のつけようがない。更にこの頃には既に倒産の憂き目に遭っていた新東宝の作品さえ、よっぽど鮮やかに観られる。これならば、まだまだ当時はTVがあっても劇場に足繁く通うファンがいたことも頷けるよ(;^_^A
やがてカラー放送、デジタル、ハイビジョンと進化していくTVに対して、「3D」「バーチャルリアリティー」で対抗する映画界だが、只でさえ入場料が発生し、しかも上記のシステムにはさらなる課金が発生する映画の方がやはり分が悪そうだ。もうじき「4K」なる放映技術もスタートしそうだし……
今後、このTVに関わる技術がそのまま映画にも反映され、なお一層デジタル化がだろうし、そうならないとなかなか映画界も生き残れないとは思うが、もともと「映画はフィルム」が常識だと考えてきた我々の世代にとっては、ますます寂しい事態に陥っていきそうだ(ノ_-。)