神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『さびしんぼう』ノスタルジックな青春の追体験

 昨晩、BS12で故大林宣彦監督の傑作ファンタジー作品『さびしんぼう』が“タイミングよく”放映された。この『さびしんぼう』はブログで何度も紹介してきたが、私にとって映画制作のバイブルのような作品だ。それ以前に『さびしんぼう』と出会えなかったら、おそらく今日にいたるまで自主映画を撮ることはなかっただろう、と断言出来るくらい、大切な映画だ。本作に対する思い入れに関しては以前「『さびしんぼう』雑感」と称して4日連続で長文の解説(思い)を書かせてもらったこともあった。

 

百合子と一眼レフとタツ子の写真と
https://jinguji.hatenablog.com/entry/29136135
4人の「さびしんぼう
https://jinguji.hatenablog.com/entry/29138022
別れの曲
https://jinguji.hatenablog.com/entry/29140376
それは一枚の写真から始まった
https://ameblo.jp/jmipf/entry-12553670069.html

 

 さて、今回の放映がなぜ“タイミングよく”なのか、っていうと、実は広島地域限定ではあるが、市(文化財団)発行の情報誌「to you」の今月号に、私の『さびしんぼう』推薦文(拙文)を掲載してもらったからだ。

 

http://www.cf.city.hiroshima.jp/bunka/01to_you/pdf/2006/2020_06-01.pdf

 

  この情報誌には、当方の上映会の情報などもよく載せてもらっているんだけれど、今回(といっても企画自体は4月下旬から準備が始まっていたようだけど)、新型コロナウィルス禍で外出自粛が続く中、「おうちで楽しむ」をテーマに、自宅で鑑賞できる本や映画(DVD)を紹介するコーナーが期間限定で設けられることになり、その第一回目の映画の方で私に白羽の矢がたったのがその発端だった。

 

 その後、間に入ってくれた方との相談で、出来れば最近惜しくも逝去した地元の大林宣彦監督の作品で、ということになり、そこで贔屓の『さびしんぼう』と、昨年秋に再見して改めて再評価した『異人たちとの夏』のどちらにしようか迷ったんだけれど、上記のような個人的な思い入れと、地元のレンタルショップではどこでも『さびしんぼう』の方が手に入りやすいこともあって、こちらの作品の推薦文を書くことに決めた次第。だから、今回このタイミングでBS12で『さびしんぼう』が放映されることになったのは、BSということで受信条件のハードルが高いものの、本当に都合がよかった。惜しむらくは、昨晩の放映前に、告知もかねて今回の記事が書けなかったことだ。嗚呼、何たる不覚………


 ちなみにその推薦文だが、往年の大林監督の語り口に倣って、精一杯気取った表現を用いたつもりなんだけど、改めて読み直すと、何だか歯の浮いた言葉ばっかり並べてたなぁ、ってちょっぴり反省(;^_^A ただこれでも限られた字数の中で自分なりに『さびしんぼう』愛を語ったつもりだ(;^_^A

 

こちらが件の記事の全文。この記事以外のページ全体は、以下のアドレスで読むことができます。http://www.cf.city.hiroshima.jp/bunka/01to_you/pdf/2006/2020_06-03.pdf

 

 ところで、今回再見して、何度も観なれたシーンのはずなのに、感動は新鮮で、本作のすばらしさ、尾美としのりの切なさ、富田靖子のみずみずしさを改めて堪能できた。ただ、BS12での放映はあまりにもCMが多く且つ無自覚に挿入されて、作品の流れに水を差したのは残念だった。なかでも、意を決してマドンナ・百合子(富田)に遭いに行ったヒロキ(尾美)が、そこで悲しい失恋をして、雨中の尾道の街を傘もささずにずぶぬれになって自宅の寺に戻り、そこでさびしんぼう(富田二役)とも今生の別れをする、というクライマックスの一連の感動的なシーンの途中にCMをはさんでしまうという無神経さには、「番組制作のスタッフは、映画に対する愛がかけてるんじゃないか」って閉口してしまった。このシーンにCM入れちゃまずいでしょ! その前後のCM時間枠を伸ばしてでも、ここは一気に放映してほしかった。

 

 もっとも、エンドロールは大林監督に“忖度”せず、オリジナルのものを流してくれたのは評価するけどね(;^_^A