神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

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『ゴジラ 東宝特撮未発表資料アーカイヴ』③ 垂涎の東宝特撮未公開作品大紹介!

 『ゴジラ 東宝特撮未発表資料アーカイヴ』読後感想の、いよいよ「第3部 幻の未製作作品集」へ……

 実は本書を購入したのは、ただただこの「第3部」に掲載された数多の東宝SF特撮未制作作品のプロット・脚本を読みたかったがためである。

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 そんなわけでこの「第3部」に収録された作品群は、

・『続 キングコング対ゴジラ』(1962)
・『X号作品』(不明 60年代後半か?)
※以上、プロット。
・『フランケンシュタイン対ガス人間』(1963)
・『フランケンシュタインゴジラ』(1964)
・『空飛ぶ戦艦』(1964)
・『火焔人間』(1974)
・『透明人間対火焔人間』(1975)
・『モスラvsバカン』(1990)
※以上 脚本

の8作品。他にも有名な『ロビンソンクルーソー作戦 キングコング対エビラ』(1966 本作を換骨奪胎したのが、同年公開の『ゴジラ・エビラ・モスラ 南海の大決闘』となる)や、『NESSIE』(1976 ネス湖ネッシーの大暴れを描く、ゴジラ後の怪獣映画として英ハマープロと合作するはずだった作品)辺りが掲載されていなかったには残念だったが、それでもこれらの“タイトルだけは知っていた”未制作映画の内容が多く知れただけでも大収穫だったよ(;^_^A

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  『続 キングコング対ゴジラ』に関しては、「へえ、そんな企画まで考えていたのか」っていうのが率直な感想。やはりオリジナルと同様「キングコング」と「ゴジラ」は“対”しちゃうんだけど、本作の「キングコング」の方がより擬人化されて滑稽だったり、物語世界の規模が世界中に広範だったり、とかく怪獣にスルーされがちな西日本、とりわけ中四国辺りが舞台になったりと、それなりに特徴的だった。「コング」が追っかけるのが美女ではなく人間の赤ん坊ってのもひねりが利いていたし。

  『X号作品』は東映の『ガンマー3号宇宙大作戦』のように、日本人が全く登場せず、物語もアメリカの最新宇宙船が、ソ連の宇宙船乗組員を救助する話。解説に「ハリウッドの『宇宙からの脱出』のような作品」と書いてあったのはもっともだと思ったし、わざわざ日本で莫大な資金をかけて撮るよりは、ハリウッドに任せておけばいいような物語だった。

  『フランケンシュタイン対地底怪獣』の元になったのが、何と等身大の『フランケンシュタイン対ガス人間』だったってのは驚きだった。また『フランケンシュタインゴジラ』では、まだ「ゴジラ」は氷山の中で眠っていて、それを人工的に起こして「フランケンシュタイン」と闘わせる(「両雄並び立たず」)という設定がユニークだったが、『キングコング対ゴジラ』の設定ともいくつか重なる部分があった。蛇足ながら、本企画の前にアメリカサイドから『フランケンシュタイン対デビルフィッシュ』なる企画も打診があり、この「デビルフィッシュ=蛸」のくだりが、「巨大蚤」→「ショッキラス」の例のように水面下でずっと思われ続け、それで“海外版”と呼ばれるバージョンのラストに唐突に登場する「大蛸」に受け継がれていたのかも知れない(;^_^A

  『火焔人間』『透明人間対火焔人間』は、共に「怪奇大作戦」「恐怖劇場アンバランス」「緊急指令10:4:10:10」辺りのノリに、『火焔人間』では「横溝正史シリーズ」のようなおどろおどろしさを、『透明人間~』では刑事ドラマのテイストを盛り込んだような、実にユニークな物語だった。本来ならば制作予定で進行し、当時の東宝のラインナップにも名を連ねていたようだ。因みに脚本は、東映石井輝男監督他数多のB級娯楽監督と関わってきた掛札昌裕氏ってのは面白い。

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  『モスラvsバカン』に関しては、今まで『ゴジラvsモスラ』から「ゴジラ」だけを抜いたような作品で、「バカン」=「バドラ」だと思いこんでいたが、バカンはそんなモンじゃないとんでもなく凶暴且つ強力な怪獣で、親子「モスラ」で「バカン」に挑むクライマックスはなかなかだった。しかしながら脚本通りに撮られたならば、殆ど日本以外のアジアの国々が舞台になる物語に仕上がる予定だったようだ。

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 ところで、当ブログでは、先に『フランケンシュタイン対ガス人間』と『空飛ぶ戦艦』に関しては詳細を書いたことがあったが(「『フランケンシュタイン対ガス人間』詳細」https://blogs.yahoo.co.jp/jinguji_ipf_s1986/28576137.html  「スーパーノアの“夢”を轟天に乗せて……」https://blogs.yahoo.co.jp/jinguji_ipf_s1986/28113151.html)、他の作品に関しても、追って紹介&感想を当ブログで書いていきたいと考えている。