「ウルトラファイト」が生み出したもの
最近、昭和の円谷プロ作品を観直してるんだけど、玉石混淆の70年代円谷作品の中でふと思い立ってyoutubeで検索したのが「ウルトラファイト」。平日夕に5分間で放映されていた本作は、最初は過去のウルトラシリーズの戦闘シーンだけを編集して、そこにプロレス風の実況を加えた、円谷一社長(当時)の発案による“ノーパジェット”な作品としてスタートした。勿論、コストパフォーマンスという商売の基本理念を考えたら、素晴らしい発想・制作態度である(;^_^A
もっとも持ちネタ不足からか、やがて円谷の倉庫に眠っていた着ぐるみを引っ張り出し、山で田んぼで海岸で、場当たり的なファイトを撮影して垂れ流す形態に代わっていったんだけど、それはそれで実にチープ且つシュールで、今でも衝撃的な映像といえる。
ところで今回引用したのは、シリーズ中一番“鬼畜”と語られる回『怪獣餓鬼道』。ただ林檎を食べているだけのキーラをウーが徹底的に痛めつける、空しすぎるストーリーだ。実際のウーは実に叙情的な怪獣として本編では描かれていただけに、本当に不条理だ……他にもウルトラセブンが怪獣たちを一方的に殴り蹴り足蹴にし続けるという、観ていて心が痛むような惨い回もあり、ここら辺は、その後「おはようこどもショー」に中で放映された、後に“赤い通り魔”と揶揄されるくらい「ただそこにいるだけの怪獣たちを突然背後から襲って、殴り蹴り斬りつけ、挙げ句は串刺しにして惨殺する」ヒーロー・レッドマンの所業に、案外受け継がれているのかもしれない(;^_^A
そういえば、もう昭和の頃だと思うが、8ミリでこの「ウルトラファイト」を見事にパロディー化した抱腹絶倒の傑作『江戸川ファイト』って作品があったんだけど、何とネット上にあったので、思わずこれまた引用させてもらった(^^) 江戸川乱歩先生に関わる「人間椅子」「魔人ゴング」「明智小五郎」が登場する作品だが、しっかり「ウルトラファイト」の世界観を踏襲していて実に面白い。久しぶりの観賞だったが、この素晴らしさは全然色あせていなかったよ(^^)
いつか同じように、ウチの“広島発ヒロインアクションムービー”シリーズのハイライトを再編集して「IPFファイト」なる作品を作れたら、なんて考えることもある。DVDの特典映像になりそうだ(;^_^A