神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

小野寺と玲子 『続日本沈没』映画化実現を望む……

 まだ小学生の頃、今は亡き宝塚会館地下2階の広島東宝でオリジナルの(と敢えて書く)『日本沈没』(1973)を観た際、まだ幼くて状況が飲み込めていなかったからか、ラスト、阿部玲子いしだあゆみ)を乗せた列車と小野寺(藤岡弘)を乗せた列車が続けて映し出されたとき、てっきりこの二台はすれ違っているものと勘違いして、「ああお互い気づかずまた離ればなれになっていくのか……」なんと思った記憶がある。今にして思うと、方や雪国、方や熱砂の荒野なんだから、全く別の国だって分かりそうなものだったが……そんな訳で、あの圧倒的な日本国土破壊(及び残虐きわまりない人体破壊)はもちろんのこと、報われないヒーロー・ヒロインの悲恋にも打ちひしがれてしまったことを覚えている。

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 その後、本作の大ヒットを経て、早速東宝は同じ監督・特技監督の下『続日本沈没』の制作を発表する。ここではすでに原作者・小松左京の頭にあった列島沈没後の日本民族の行く末が描かれる予定で、その中には小野寺と玲子のジュネーブでの再会も盛り込まれていたらしい。もっとも、本来ならば日本の沈没は物語の序章に過ぎず、国土を失った日本人の行く末の方こそがテーマであり、元々のタイトルも『日本漂流』だったはずのこの壮大なストーリーは、しかしながらその序章の段階で執筆に9年も費やしたこともあり、とても続編の映画制作に原作が追いつくはずもなく、いつの間にか頓挫してしまったらしい。

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 それから33年後、奇しくも草なぎ版リメイクと時を同じくして、ついに待望の「日本沈没第二部」が、谷甲州氏との共著という形で刊行された。実は最近、この本を手に入れたのだが、二段組みでページ数実に474頁! 最初にこの本を見たときには、「果たして読み切れるだろうか」と不安を覚えたが、実際読み始めると、様々な登場人物が幾層にも織りなす物語展開や、それぞれのキャラクターのダイナミックな活躍ぶりにグイグイ引っ張られる形で、毎日限られた時間の読書しか叶わなかったが、それでも文字通り一気に読み切った(そして読み終えたのが今日)。

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 以前何かの書物で、続編は気象問題が中心となると小松氏が語っていた記憶があるが、確かに本作は、その気象変動による世界規模の災厄を予感させる展開になっていた。映像化を考えたとき、『日本沈没』の様な超スペクタクル映画になるのは難しそうだが、それでも洋上に浮かぶ巨大なメガフロート基地や、地球環境を過去から未来まで観測予測出来る「地球シュミレータ」の存在、またカザフスタンでの政府軍・ゲリラ入り乱れての一大掃討戦など、それだけでも相当な規模の映画になり得る要素を兼ね備えている。

 今「地球温暖化」が叫ばれている中、本作のテーマは逆に「地球寒冷化」。しかも何故そうなるのか、についての解説が実に丁寧かつ現実的で、これを読む限り、地球の温暖化も寒冷化も地球の“気まぐれ”でどっちにでも転ぶ、紙一重であることを思い知らされる。

 まあ、詳しいストーリーを語るのはやめておこうと思うが、一つだけ……不完全な形であり、かつまだこれからの展開の方が重要になりそうではあるが、それでも「小野寺」と「玲子」は再会する。それだけは言及しておく。物語世界はかの「異変」から25年後設定だが、実際には33年ぶりの再会。そして私がこの本を読み終えたのが、42年後の今日。あの打ちひしがれたオリジナルの切ないラストシーンから、ようやく2人の再会に立ち会えることが出来たよ(^^)

 それにしても、映画における主人公役の2人、「藤岡弘、」と「いしだあゆみ」両名が健在な今こそ、リアルな年齢でいいので、この「第二部」(続?)を映画化して、作品世界の中でリアルに2人を再会させてほしいものだ(^^)

 ちなみに、この本は昨年、書店の古本市で、何と100円で購入したものだ。この僅か百円で手にした情報・感動・興奮は計り知れない。それ故、知識の宝庫である書物をもっと大切にしなければ、と切に思った。