神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『怪獣王ゴジラ』とテアトル西新

 CS「日本映画専門チャンネル」で、東宝怪獣“お宝”映像として、『宇宙大戦争』零号版フィルムと共に放映されたのが、『怪獣王ゴジラ』の日本版公開フィルム。かの『ゴジラ』(1954年版)に米俳優レイモンド・バーの演技を付け足して全米で公開されたものを、日本に逆輸入した珍品で、特徴は、「シネスコ版」と称してオリジナルをトリミングした点。しかも字幕も入った当時のフィルムは1本しか現存していないという曰く付きの映画。まさに“お宝”映像だ。
 
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 まさに“凱旋”という表現がピッタリの本作品だが、いかにも“外国映画をアメリカのフォーマットでロンダリングしました”的な作品で、オリジナルに慣れている身としては、「?」な内容だった。勿論、反核の思想なんてさっぱり抜け落ちているし、“トンデモ日本人”も多数登場する所など、サミュエル・フラーの『東京暗黒街・竹の家』のような雰囲気だったよ。ただ全世界で公開されたのは、オリジナルよりこっちの方なんで、おそらく世界のゴジラファンは、その根底にあるテーマについて、よっぽどもマニアでもない限り理解できないのだろうな。そうなると、人類の度重なる地下核実験に抗議して、地底人シートピアが放った怪獣メガロをゴジラがやっつける、という世界観本末転倒の『ゴジラ対メガロ』が、国内の不評とは裏腹に海外では受けている、という矛盾も理解できる。
 
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 実は、“お宝”といいながら、実際このアメリカ版『ゴジラ』は、通販で容易に入手可能だ。私も、以前知人のハワイ土産で、このDVDをもらっている。もっともスタンダード版だし、字幕もないので、そう云う意味では今回の放映は“お宝だったけれど………
 
 ところで、もう四半世紀以上前の話だが、1984年に10年の沈黙を破って再び『ゴジラ』が制作される前年、今は亡き福岡市の「テアトル西新」で、この『怪獣王ゴジラ』が公開されたことがある。これはゴジラ復活イベントとして、同劇場で週替わりにオールナイトでゴジラ映画が公開されたときの1プログラムだったが、当時九州の学生で、特撮に枯渇していた私は、福岡に里帰りする先輩の車に同乗して当地を訪れ、本作を劇場で観た記憶がある。今回このことをネットで検索したら、確かに1983年の10月に、実際このオールナイトがあったことを確認することができた。
 
 もしかしたら、今回放映されたまさにこのプリントを、当時観賞していたのかも知れない……