神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

怪獣映画こそ必要な“外連味”

 昨日は昼からゴールデンタイムにかけて“平成ガメラシリーズ”三部作が、CSのムービープラスで連続放映された。改めて考えても、凄いことである。CSとはいえ、この三部作が一挙放映なんて夢のような話だ。しかも『ガメラ3 イリス覚醒』の裏番組は、何と日本映画専門チャンネルの『ゴジラ』(1954年版)。しかも今日の4作品すべてが4Kリマスター版なんだから、これはちょっとした事件だ(;^_^A  さらに言うならば、件の『イリス覚醒』の後番組が『ランペイジ巨獣大乱闘』。この作品にはジョージ、ラルフ、リジーの三大巨獣が登場するんだけれど、うちラルフ、リジーの二匹は、“平成ガメラシリーズ”をすべて手掛けた金子修介監督が東宝で撮った『GMK大怪獣総攻撃』の初期設定で登場予定だったバランとアンギラスのそれに酷似しているのである。過去ゴジラキングギドララドンモスラのハリウッド版アレンジを観る限り、おそらくこのノリでバランとアンギラスをアレンジしたらこうなるだろう、って容姿をラルフ、ラジーは持っているのである。まさに昨晩のムービープラスはある種“金子修介監督まつり”とでも言いたくなるようなラインナップだった(;^_^A

 

 

 さて、『ガメラ大怪獣空中決戦』『ガメラ2レギオン襲来』『ガメラ3イリス覚醒』が連続放映されるという、まさに“オールナイト上映”を彷彿させるラインナップが展開されたわけなんだけど、『イリス覚醒』はともかく、『ガメラ』の主題歌「神話」(爆風スランプ)と『ガメラ2』主題歌「そら」(ウルブルズ)を連続で聴くとどうしても燃える!気分が高揚する! 歌を通して撮影現場の、そしてこの作品にかかわったスタッフキャストの“情熱”がビンビン伝わってくる。とにかく、最初に『大怪獣空中決戦』を観た時、そのクオリティーや設定、展開に驚き且つ泣けるくらい嬉しかった。そして多大なる期待を持って観た(今思えば今は亡きステーションシネマで観たんだよね(;^_^A)『レギオン襲来》もその期待に違わぬ……っていうか期待を遥かに超える内容だった。今でもこの三部作では『レギオン襲来』が一番好きだ。だから当時1万円以上したLD(!)ボックスも購入した(ちなみに『大怪獣空中決戦』は通常版のLD)。両方ともサントラ版CDもメイキングVHSで¥ビデオも持っている。ただ『イリス覚醒』だけは、設定について行けなったり、すっきりしない結末だったりしたので、前2作と比べるとそれほど思い入れはない。DVDを持っているだけだ。

 

 それにしても、この三部作は、アニメ的な世界観も醸し出しつつ、雰囲気は「チャンピオンまつり」と『シン・ゴジラ』n中間に位置するような作品群だと思う。

 

 かつて学生時代、いっぱしの“特撮青年”を気取っていた頃は、昭和ガメラや“チャンピオンまつり”版ゴジラを「お子様ランチ」と徹底的に否定していた。復活となった『ゴジラ』(1984年版)もしかり。おそらく当時の我々のよう者が理想とするゴジラこそ、今思えば『シン・ゴジラ』のようなゴジラ映画だったんだろう。きっとその頃鳥取砂丘でダイコン版『帰ってきたウルトラマン』を撮っていた、当時の庵野秀明青年も同様だったからあの映画は完成したのだと思う。

 

 しかし、今となっては、『シン・ゴジラ』的世界はある種マニア的に“潔癖”過ぎて、俗にいう娯楽怪獣映画としての“外連味”に欠ける部分がある。逆にそれならば“子供の味方ガメラ”や”チャンピオンまつり的怪獣観”がいいのか、というと、あまりにもリアリティーにかけていたり、設定が雑だったりして、今観ても一歩引いてしまうと所がある。

 

 その点、“平成ガメラシリーズ”や同じく金子監督が演出した『GMK大怪獣総攻撃』に関しては、リアリティーを出すために細部にまで「実際に今の世の中に怪獣が出現したらどうなるか」についてしっかりシュミレーションされた演出がなされる中、怪獣同士のバトルや、怪獣対自衛隊(防衛隊)の攻防は大見得を切ったような外連味たっぷりに描かれていて、一部を除き観る者に心地よいカタルシスを感じされてくれる創りになっている。

 

 映画にはそれぞれいろんな嗜好があって、一概に決めつけることはできないが、こと怪獣映画に関してはある程度は観る者を気持ちよくスカッとさせる要素が必要だし、それが顕著なのが『大怪獣空中決戦』であり『レギオン襲来』であり『大怪獣総攻撃』であったと思うわけである。