神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『鯉昇れ、焦土の空へ』!

 今日の広島はなんと云っても『鯉昇れ、焦土の空へ』しかあるまい!
 
 
 9月26日金曜日の夜、「中国地方限定」で、「シリーズ被爆70年 ヒロシマ 復興を支えた市民たち」シリーズの一環として、ドキュメンタリードラマ『鯉昇れ、焦土の空へ』がNHK地上波にて放映された。これは、広島カープ黎明期に訪れた解散の危機に、敢然と立ち上がった初代監督・石本秀一の奮闘を中心に描いたドラマだった。
 
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 この時期のエピソードは、1975年の初優勝と並び、広島人感涙の“鉄板ストーリー”なのだが(後は「長谷川良平移籍騒動」ぐらいか)、すでに同局の「プロジェクトX」において「史上最大の集金作戦 広島東洋カープ」のタイトルでドキュメント化されていただけに、今回は飽くまで“ドラマ”として楽しめると期待していた。
 
 石本監督を演じるイッセー尾形の演技が実によく、ロシア映画『太陽』における昭和天皇役と同様、“自分を捨てて役になりきる”姿が素晴らしかった。もっとも、やや誇張されたそのキャラは、前出のドキュメンタリーよりも、むしろ「広島カープ物語」(トーク出版)の“漫画版石本監督”像に、表情から声の張り上げ方までモロそっくりだったけれど  また、球団を支える御幸荘の女将役で富田靖子が出演していたが、もしかしたら『さびしんぼう』以来の“広島里帰り”だったかも知れないな
 
 さて、展開そのものは「史上最大の集金作戦 広島東洋カープ」の前半部分のまんまだったが、その描き方が、スタジオでのドラマと、デフォルメされたセットで演じられる“舞台”のような演出の両方が織り交ぜられれる斬新なものだった。しかしながら、きっちりとドラマを見たかった私としては“舞台”的演出はいささか不満だったし、一般の視聴者も戸惑ったのではないだろうか。もしかしたら舞台関係の人の演出だったのかもしれないが、しっかり感情移入できる設定だけに、“変化球”ではなく、きちんとドラマとして感動させてもらいたかったよ
 
 まあ、そんな不満もあったが、いずれ全国公開された暁には是非多くの人に観てもらいたいドラマだったよ。改めてカープも創世記はまたひとつの“エクスペンタブルズ”だったって改めて思い知らされたけど、今こうやって曲がりなりにも存在しているのは、この時の石本監督の熱意があったからだ。ここだけは紛れもない“事実”なのだから……
 
 それにしても、こんな感動ドラマが放映されているその日その時に、寄りにも寄って優勝を逃す敗北を喫するなんて……相変わらず広島カープは「空気の読めない」球団だ