神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「大友克洋」発『サマーフィルムにのって』の行く先にあるものは……?

 先日紹介した洋泉社の「悪趣味邦画劇場」。その中に「小学生、だましのテクニック 悪趣味まんがチャンピオンまつり」という、いかにも“そそるタイトルの章立てがあって、ここでは古今東西(「今」といっても1995年までだが)の漫画原作の邦画が面白おかしく紹介されていた(天野譲二氏著)。その中に何とも興味深い作品のことが書いてあった。とはいっても、それは1979年公開の“日活ロマンポルノ”の中の一本で、『高校エロトピア 赤い制服』なんてという元も子もないタイトルがついていた作品だ。主演は原悦子。当時はピンクの、次いでロマンポルノのアイドル的存在だった。もっとも今観るとごく普通の女の子(とはいっても私より歳はうんと上だが(;^_^A)にしか見えない。まあ、当時はあの谷ナオミさえ、緊縛界でヒロイン視されていたし、今と比べたら、人前で裸を晒すなんてうんとハードルも高かっただろうし、それをいとわない気っ風のいい子はそういなかっただろうから、アイドルもヒロインもそこまでは求められなかったのだろう(;^_^A  その後、泉じゅん、寺島まゆみ、赤坂麗、浅見美那、山本奈津子、小田かほるらが台頭してきたあたりから、本格的なロマンポルノのアイドル化が進んでいったような気がするかな(;^_^A

 

 

 ところで、女優の変遷はとりあえず置いておいて(;^_^A、今回話題にしたいのは飽く迄『高校エロトピア 赤い制服』である(;^_^A  この作品の舞台は高校映画研究部。そう、昨今も『映像研には手を出すな』『ビューティフルドリーマーズ』といった、映画研究部や自主制作映画の現場を舞台にした映画が立て続けに公開されたが、その“映研”ものの、時代的には先駆けといっていい作品なのだ。しかも、主人公たちは、映研部員でありながら、部の方針に逆らって、自分たちだけで文化祭用の映画を制作するために奔走する。これって、これまた“映研”ものの逸品『サマーフィルムにのって』とまんま同じ設定なのだ。もっとも、本作の主人公たちが制作を目指すのは「サマーフィルム」ならぬ「ブルーフィルム」……つまりピンク映画なのだヾ(- -;)ヾ(- -;)  しかも、驚くべきことに、原作になった漫画「仁侠シネマクラブ」を書いたのが、かの『童夢』『AKIRA』を世に送り出した大友克洋って言うんだから尋常じゃない!! 今考えたら凄い映画なのだ!!

 

 

 

この子の役が原悦子なのかなぁ?

 

 

 それでは、主演の原悦子がそのブルーフィルムに出演するのか、っていったらさにあらず(彼女の役回りは映研の副部長)、跳ねっ返りの部員3人はバイトで制作資金を準備したものの(当時の映画制作は8ミリフィルムが主体だったから、その制作費はばかにならなかった。大体現像代含むフィルム代だけで、下手をすると10万円はくだらなかった)、肝心の主演女優が見つからず、結局ホルモン焼き屋のおばちゃん(絵沢萠子!!!)に出てもらう羽目になるのである。では、肝心の原悦子はどうなるかというと、3人組のブルーフィルム制作とは全くの別次元で、映研OBの横田としっかり濡れ場を演じるのである。ちなみにこの横田役を務めたのが、な、なんと風戸佑介!!(゚Д゚;)  かの『ジャッカー電撃隊』のクローバーキング……否! 『徳川女刑罰絵巻牛裂きの刑』で、物語中盤自らも惨殺される、”牛裂き女(内山レナ)”の彼氏役や、『暴走パニック大激突』でサディストで男色家の医師(林彰太郎)に散々加虐され弄ばれる美青年の修理工役、そしてオリジナルの『電人ザボーガー』で主人公・大門豊の宿命のライバル・秋月玄を演じた、かの風戸佑介である(゚Д゚;)(゚Д゚;)(゚Д゚;) ホントこの人、仕事選ばないんだなぁ……なんか嬉しくなってくる(;^_^A ちなみに脚本は私が大好きだった『クララ白書 少女隊PHOON』の鹿水晶子、監督は東大国文学科卒の“ロマンポルノ監督”だった白鳥信一。

 

 

 物語の方はというと、結局苦心惨憺して制作したブルーフィルムを文化祭当日、校内の物置小屋でひっそり公開したが、何故が映し出されるのは撮ったつもりもないドキュメンタリータッチの映像ばかり。そこで彼らは、部本体の制作したドキュメンタリー映画と、彼らのブルーフィルムが手違いで差し替わってしまっていたことに気づく。折も折、映研の試写会場では突如流れたブルーフィルムに場内はパニックとなる。確か吉田秋生の漫画「河よりも長くゆるやかに」にも同様のネタがあったよなぁ………(;^_^A

 

 ここまで書いた内容は、全てネット記事か、昔購入したフィルムアート社の「官能のプログラムピクチャー ロマンポルノ1971-1982全映画」からの受け売りで、当然というか、本作を観賞したことはない。一応この作品の予告編がYoutube上にUPされているが、ポルノ映画故、ここにリンクを貼るわけにはいかない。興味のある方は“自己責任”で検索してみてください(;^_^A

 

 高校映画研究部の「青春」と「性春」をない交ぜにしたような作品のようである。まあ、もう成人になって久しいし、もし機会があったら『映像研に手を出すな』『ビューティフルドリーマーズ』『サマーフィルムにのって』や漫画『あどりぶシネ倶楽部』の延長線上にある(っていうかこっちが先!)映画として、出来れば観賞してみたいものだ。もうすっかりおじさん(おじいさん?)になった自分としては……(;^_^A