神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

飛鳥五郎と『快傑ズバット』の運命と

 東映特撮ドラマ『快傑ズバット』の第一話「さすらいは爆破のあとで」において、主人公・早川健宮内洋)の大親友・飛鳥五郎(岡崎二朗)が、悪の組織ダッカーの魔の手によって殺害される姿が最初に放映されたのは、今を去ること24年前の1977年2月2日。その劇中、冒頭より早川と飛鳥の再会→飛鳥の妹・みどりが務める幼稚園のバスに仕掛けられた爆弾から園児を守ろうとした飛鳥が重傷を負う→彼が担ぎ込まれた病院に潜入したダッカーの刺客によって射殺される、というように、その日のうちの飛明日五朗は“リアルタイム”で命を失ってしまう。つまり本作が放映された2月2日が、文字通り飛鳥五朗の命日なのである。まさに現実の時間とドラマ世界とがリンクする、非常に珍しい展開だった。しかもご丁寧に、毎回早川健は悪の幹部を前に「2月2日、飛鳥五郎という男を殺したのは貴様だな!」と恫喝する。実に遊び心に充ちた設定だ(;^_^A

 

 

 

 ところで、このドラマの根幹をなすキャラクターである飛鳥五郎の登場シーンは、実は第一話の、しかもCM前の前半のみ。もっとも先に「最初に」とことわったのは、その後も主題歌のバックで、このシーンが早川健の悲痛な叫び「飛鳥~ァ!!」と共に“怨霊”のように毎回流れ続けていたからだ。だからこの曲をカラオケで歌うと、決まってこの場面とシンクロする「復讐の~風ェ~♪」のところで、決まって誰かの「飛鳥~ァ!!」って“合いの手”がはいるものだった(;^_^A

 

 当たり前かもしれないけど、第一話のOPで既に飛鳥五郎が殺害されるシーンが流れていたんだね……(;^_^A

 

 さて、本作の世界観は、東映製作でありながらまさに日活無国籍アクションの『渡り鳥シリーズ:』を踏襲している。特に第二話「炎の中の渡り鳥」に至っては、そのサブタイトルと共に、西部劇風の雰囲気の中、やくざの地上げが絡に、そこにギターをかけた風来坊の早川健がやってくる、という、まんま『渡り鳥』のフォーマットで撮られている。それ故、東映育ちの宮内洋に対して、「ダイニチ映配」時代を含むロマンポルノ前夜の日活を知る岡崎二朗を重要な役で配したのは、それがたとえ短い出演だったとしても、大きな意味があったと思う。

 

 そういえば、本作は高視聴率に恵まれながら、その内容から視聴者の年齢が高かったため、売り上げに直結しなかった玩具メーカー(タカトク)が下りたため、3クールにも満たない32話で打ち切りの憂き目にあってしまう。それは致しなかったこととは思うが、今考えても惜しい話だ。もっとも、このドラマはむしろ後半にズバットが登場することに違和感を覚えるくらい、普通の大人向けアクションドラマでも通用する物語だったと思っている(といっても「ズバット参上」を否定するわけではない。それはそれで実に面白かったし……)。『渡り鳥』シリーズの中でも、どの作品だったか、天井から、船のシートの下から、いきなり何の前振りもなく小林旭が飛び出して悪党を蹴散らす、なんてのがあったけど、そんな感じでいきなり早川健が登場して生身で戦っても十分行ける作品だった。実際、打ち切り後も一度は一時間枠での再開も画策されたそうである。

 

 いずれにしても、制作サイド・スポンサー・そして視聴者の思惑が一致しないと、なかなかうまくいかない、そんな典型的なドラマが『快傑ズバット』だったのかもしれない。というわけで、2月2日は今年もやはり“ズバットネタ”ということで(;^_^A