「近鉄の火」
先日、“近鉄戦士”の見出しが躍る記事が立て続けに掲載された。
岩隈に坂口「お疲れ様」残る近鉄戦士は近藤と2人に
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1d005e25221e91e0d4b56c8ae787d68560ef363
残り2人の“近鉄戦士”ヤクルト坂口が通算1500安打 巨人岩隈の引退発表の日に
https://news.yahoo.co.jp/articles/96efccc4ece13b7ce74be1871570729c47e213f1
2004年のNPB球界再編騒動で、球団消滅の憂き目に遭った大阪近鉄バファローズ。結局その直後、新たな球団として「仙台ライブドアフェニックス」ならぬ「東北楽天ゴールデンイーグルス」が誕生したわけだが、それなら最初から近鉄バファローズをそのまま「ライブドアバファローズ」にすれば丸く収まったのに、って当時は憤ったね。尤も、球団再編そのものを阻止した救世主として堀江貴文をずっと支持してきたんだけれど、自民の推薦で国会議員を目指したあたりから「?」となり、昨今の滅茶苦茶な言動から、すっかりメッキがはがれてしまった感じだ。
当時、何度か大阪に乗り込んで、デモ行進に参加したり、近鉄バファローズ地元最終戦も大阪ドームまで観戦しにいったものだった。
その後、合併球団はどうしても好きになれず、いつの間にかパリーグの贔屓チームは千葉ロッテマリーンズになっていったが、その間も、主にオリックス・楽天に散らばった元“近鉄戦士”がどんどん球界を去っていくのは何とも心苦しかった。中には中村ノリのようにメチャクチャなのもいたけど……ヾ(- -;)
やがて“近鉄戦士(猛牛戦士)”そのものが、かつての「大毎」「東映」「太平洋(西鉄)」(最近ならば「ダイエー」)に在籍したプレーヤーのように、あたかも“絶滅危惧種”のような言われ方をし始め、ついに今シーズン開始時点で、岩隈・坂口・近藤の3人となり、そしてこの度、岩隈が現役引退を発表した。
メジャーリーグでも活躍した岩隈が、晩年の2年間、一度も一軍登板なく引退していくのは何とも惜しい話だが、あくまで個人的見解で書かせてもらうのならば、讀賣での活躍がないまま引退して、むしろ良かったと思っている。消失の危機に遭った近鉄バファローズで獅子奮迅の活躍を魅せ、その年、今年菅野に破られるまで開幕12連勝の記録を打ち立て、合併球団への入団を拒否し、敢えて寄せ集めのチームに過ぎなかったゴールデンイーグルスへ磯部と共に入団した岩隈は、まさに“反骨”の人。そんな岩隈に、金満球団で04年の球界再編でも水面下で暗躍した(ナベツネの)讀賣に入団するなんて、彼の今までのストーリーからすれば残念極まりない事態だったから。下手に活躍して、今までの経歴を一切無視して「讀賣OBの岩隈」として現役引退後活動するのは、ファンとしては観ていてきっといたたまれなくなっただろう。まあ、そこら辺は今後どうなるかわからないけど……
そんな岩隈の引退によって、いよいよ最後の2人となった坂口と近藤だが、引退発表の翌日に、坂口が1500本安打を達成したのは、何とも象徴的だ。現在坂口と近藤が所属するヤクルトスワローズは、2001年に結果的には最後のリーグ優勝となった、12球団唯一日本一の経験がなかった近鉄バファローズの、それも最後の日本一のチャンスに立ちはだかった球団だ。そんなスワローズに最後の“近鉄戦士”が所属しているとは皮肉な話だが、それこそ残りの野球人生で、所属球団を喰うくらいの華々しい活躍を魅せてほしい。きっと彼ら2人の引退を以て、ついに近鉄球団はその終焉を迎えると思うから……
ちなみに、本来「バッファローズ」となるはずなのに「バファローズ」と表記するのは、大阪の球団だったから。同様の理由で、今年最後のメンバー・正児も亡くなって解散(自然消滅)した上方のお笑いトリオも「レッツゴー三匹」ではなく「レツゴー三匹」なのである(;^_^A