新しい朝必ず来るさ！

　職場の同僚がみんなすっかり帰っってしまった後の職場。今日も一人残業を終え、真っ暗な廊下を歩いて,、淋しく車に向かう。もう社屋の明かりもほとんど消えて、山あいの職場は暗闇に包まれている。

 

　働いても働いても、同僚たちにはなかなか追いつかない。どの焦燥感。こんなにしゃかりきになっても、所詮は“空回り”ではないか、との不安。花粉症の季節は過ぎた、というこのなのに、どうしてまだ、声は枯れる？　鼻はつまる？　痰が絡む？　“しゃべる”ことが我が商売なのに……もしや風邪か？

 

　疲れがたまると、意外に食欲は起きない。自宅に帰ったところで………。車のエンジンを起動し、何気なくＣＤのスイッチを入れる。途端流れてきたのが、この曲だ。

 

 

　別にこの曲が好きだったわけではない。 最近急にこの曲が好きになった娘達のためにあつらえたＣＤがたまたまデッキの中に残っていただけだ。しかし……なんて泣ける歌詞なんだ！

 

やりたいこと　やったもん勝ち　青春なら

夢はでかくなけりゃ　つまらないだろう

そうさ　100％勇気　もうがんばるしかないさ

ぼくたちが持てる輝き　永遠に忘れないでね

ハートが燃えているなら　後悔しない

昨日飛べなかった　空があるなら　　いまあるチャンス　つかんでみよう

まだ涙だけで終わる　ときじゃないだろう

たとえさみしすぎる　夜がきたって　　新しい朝　かならずくるさ

 

　この曲のことは、うんと昔から知っていた。ただ「やけに調子のいい曲だな」くらいにしか認識していなかった。しかし今改めて聴いてみると、潔いまでに「人生に発破」ソング。文字通り「100％勇気」ソングだ。

 

　正直、冷静に考えたらクサすぎる歌詞も、今の心には不思議と何のためらいもなく入り込んできた。

 

　他の人のように、達観して仕事をするほど人生修養はできていない。

 

　他の人のように、、達観して映画が撮れる訳でのもない。

 

　他の人のように、年相応の人間性が確立しているわけでもない。

 

　そして……上の目線で人を見ることができない私だ。

 

　よって他人に翻弄されるし、他人にからかわれたりするし、他人に見下されることもある。ただ、そんな私でも、どこか立つ瀬があるんではないか、との期待を持たせてくれるのが、この曲だ。

 

　「こんな“子供ソング”で喜ぶなんて……」って、笑いたければ笑うがいいさ、立派な御仁たちよ。でも、こんなたわいのない曲にさえ心ときめく自分が、今は好きだな（笑）　こんな感動ができるウチは、まだまだ映画が撮れるかな、って期待できるし（笑）

 

　とにかく勇気をもらって、明日からのしんどい仕事も頑張ろう、って思った次第。