神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

髪を下ろしたアンジー

 この週末は久しぶりに映画鑑賞。一気に4本“ヒロインアクション”(らしきものも含む)を観まくった(笑)
 
 まず最初の一本はアンジェリーナ・ジョリーのサイボーグⅡ』(笑)。正式名称は『Cyborg 2』だが、国内のDVDタイトルがこうなっている。おそらく『マックィーンの絶対の危機(ピンチ)』(『The Blob』)と同様、露骨な便乗邦題だ(笑)
 
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 物語は、というと、近未来に人間見紛うほど精巧なアンドロイド(劇中はサイボーグ)を発明したビンウィール社が、そのシェアの覇権を争うライバル会社「コバヤシ・エレクトロニクス」を壊滅させるために、特殊火薬を挿入した最高品質の女性アンドロイド・キャッシュコバヤシ社長暗殺のためオオサカに派遣する計画からスタートする。そこで刺客のキャッシュB級テイストにねつ造された大阪の街で活躍する話しなのかな、と思いきや、当のキャッシュは自分が刺客としてターゲット共々自爆させられる運命に抗い、コーチを務める人間の戦士と共に社から逃走。その後何故かピンウィール社の社長と内通している“コバヤシ”製の女性アンドロイドや、社長が送った偏執狂の殺し屋などと戦いながら、やがて二人揃って安住の地に向かう、といった内容だった。
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 米映画でありながら“コバヤシ”製のアンドロイドのスコープ画面が日本語(カタカナ)だったりしたのには芸の細かさを感じたし、戦闘シーンもふんだんに登場、また彼らを導く“謎の男”の存在など、サスペンス的要素も十分楽しめるところだった。しかしながら、如何せん全編に漂うB級テイストは痛し痒しだった
 
 大まかな背景をテロップのみで説明するB級映画の常套手段もさることながら、これだけの世界観を結構金をかけて描いている割には、敵が銃に撃たれて死ぬシーンも後ろ向き、殺し屋が戦士との決闘において回転する鉄の刃に顔を砕かれる(のだと思う)シーンも戦士の返り血のみで描かれるなど、つまり弾着や顔面崩壊特殊メイクといった、観客が期待するシーンを適当にごまかしている技法はいただけなかった。劇中、ゼペット爺さん(ピノキオ)ロミオとジュリエットの引用が台詞上行われたり、サイボーグのキャッシュが廃墟と化した博物館で、人間の進化の過程を表す銅像群を意味深に見つめたりなど、B級映画に格調を与えようとする方法論もみえみえで如何にもであった。
 
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 ただ、主人公・キャッシュを演じるアンジェリーナ・ジョリーの美しさには目を見張った。普段アメリカ国民が言うほどアンジーに魅力を感じていなかった身にも、本作のアンジーはまばゆいばかりに初々しく輝いて見えた。いや、まさに“魅せられた”(笑) その要因の一つに、自分のイメージの中ではアップやオールバックのような髪型で今ひとつ女性的な雰囲気を感じにくい彼女が、本作ではずっと髪を下ろしている。実に“女性的なアンジーなんだ(笑) だからこそ一方的に強い“機械の女”というよりは“人間女性の優しさと機械の強さとの狭間に悩みつつ、人間の戦士に恋いこがれる”悲劇のアンドロイドの姿を感じられたのではないかと思う。
 
 それにしても、よくこんなB級映画にアンジーが主演したものだ、と思っていたら、何と本作は1993年に公開された、アンジーの初出演映画だったのだそうだ。道理で初々しいはずだ(笑)