神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

緋牡丹お竜論

 先に書いた『戦う女たち――日本映画の女性アクション』だが、これが実に面白い! 中でも斉藤綾子氏による「緋牡丹お竜論」が素晴らしい内容だ。
 
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 私も「緋牡丹博徒」シリーズは、第一級のヒロインアクションムービーと認めている(特に第3作『花札勝負』は最高の出来映えだhttp://blogs.yahoo.co.jp/jinguji_ipf_s1986/4298711.html)。何と云っても藤純子演じるお竜姐さんのストイックさがいい。ベタなほどに大仰なドラマも素晴らしいし、仰々しい台詞回しも最高だ。
 
 だが、この著では、父の仇を討つと誓った日から、心は“女を捨て男になった”はずの彼女の、男と女の狭間をさまよう姿に、両性の魅力を醸し出し、それによってある種ホモセクシャル的な任侠(義理人情)の世界において、“お竜姐さん”というキャラクターが存在・調和しえたいきさつを、まさに学術的に分析している。
 
 氏の指摘する“お竜姐さん”の、作品(任侠映画)世界との融合(精神的にも肉体・性的にも)に苦悩する姿は、まさに、“男と比べて肉体的にもか弱いはずの女性が戦わねばならない”ヒロインアクション世界の根底に流れる基本にも通じる命題で、それに関する解説は、今後ヒロインアクションを企画していく上で大いに役立ちそうだ。
 
 元来、ヒロインが戦う、ということ自体、悲劇性がつきまとう(特に『女囚さそり』シリーズなどその最たるものだ)。何故戦うのか、何故戦わねばならないのか……敵も女性である『キューティハニー』ならいざ知らず、数多のヒロインたちが戦う相手は、屈強の男たちばかりだ(神宮寺真琴の相手はひ弱な小悪党ばかりだが……笑)。
 
 その問いに対して、一定の答えを示してくれていたのが、実は『緋牡丹博徒』だったとは……又改めて『緋牡丹博徒 花札勝負』が無性に観たくなったぞ!