「緋牡丹のお竜」の目力
最近、とても大切に読んでいるのが、以前にも紹介した「戦う女たち――日本映画の女性アクション」(四方田犬彦・鷲沢花・真魚八重子他著 作品社刊)である。とにかく古今東西のジャパニーズヒロインを、黎明期の邦画からドラマから、果てはアニメまで網羅し、しかも小気味いいまでに徹底して“学術的”“映画学”の見地で論じている、実に潔い本だ(;^_^A
確かにかの加藤泰監督演出の『緋牡丹博徒 花札勝負』は外連味溢れる傑作中の傑作で、主人公・お竜姐さんの演技もさることながら、脇を固める高倉健のストイックな格好良さはピカイチだし、重鎮アラカンのためにためた演技もとっても秀逸、しかも小池朝夫演じる悪役・金原のねちっこい悪党ぶりも板についていて、見所満載の“宝物"の様な映画だった。
もっとも、本作に対する思い入れがありすぎて、他のシリーズ作品にはなかなか食指が動かず、お竜姐さんの雄姿も、本作以外で拝んだことがなかった。また私たちの世代にとっては、彼女はやはり「三時のあなた」の"寺島純子"であって、"藤純子"という当時の芸名にさえ若干の違和感を覚えるくらいだったから、これをシリーズとして楽しむ"素直さ"にかけていたようだ。
しかし前述の「戦う女たち」のお竜姐さんの項を読むにつけ、この『緋牡丹博徒』シリーズが、アクションヒロイン界において、任侠映画界において、否邦画界においていかにエポックメイキングな作品だったかを、事細かに説明しており、これを読んで、俄然このシリーズを頭から8作全て観賞したい、という猛烈な欲求に駈られたよ。だってこの本に書かれていることを実際にこの目で検証したいもの(;^_^A