神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

真琴、かく闘う!

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 今回、久々に舞台観劇としゃれ込むことができた。その舞台とは、「親の顔が見たい」(演劇ユニット体温)。『天使諜報★神宮寺真琴』で主人公のヒロイン・真琴役を熱演した山田明奈さん出演の公演である。物語は、とある私立女子中学で生徒の自殺事件が発生し、その遺書からいじめに関わったとされる5名の生徒の保護者が学校に呼び出され、そこで嫌疑のかけられた我が子可愛さに、醜いエゴをぶつけ合う親たちの姿を描く問題作である。立場的には、なかなかヘビーな物語だった。

 ストーリー的には、逃げ腰の校長、神経衰弱ギリギリの新任担任、どんな事実を突きつけられてもシラを切り通す親たち、それをおかしいと思いつつ全然つっこめない学年主任というキャラクターで、いつになっても問題が解決しない無間地獄のような展開が延々と続く。途中、改心して事実を伝え始めた保護者(祖父祖母)が登場しても決定打とはならず、全く持って息苦しいまでの内に秘めた憤りを感じているところに、自殺した娘のバイト先の青年が乱入することによって、その後、娘の母親の登場、担任の本音吐露と物語は急展開。結局、何人かの親が包み隠していた事実を白状することによって、急転直下の大団円を迎える、といった内容だった。

 それにしても、一番善人ぶっていた親(自分のクラスにはいじめなどないと豪語する高校教師)が、徐々にエゴに満ちた言い訳で周りを恫喝する件や、我が子可愛さから被害者の娘家族を悪人に仕立て上げようとする数々の造言、それに対する観客(我々)のやり場のない怒りを何ら解決してくれない学校サイドの及び腰等々、見ていて正直つらかった。途中、会議室でたばこを吸おうとした親がとがめられたり、証拠の遺書を親の一人が二度にわたって奪い焼き捨てたり破り捨てたりする件など、本当はギャグなのだろうけど、残念ながら全然笑えなかった。ただ、見ているうちに「これは解決するまで見なければやりきれないぞ」と思わせるところなど、舞台に集中させるという点で、なかなか優れた台本だったと思う。

 さて、山田さんの役どころは、自殺者と加害者の双方を担任する新任教師で、それこそ豪快に啖呵を切る姉御肌の真琴とは打って変わって、全方面からのプレッシャーに今にも押しつぶされそうな、まさに神経衰弱ギリギリの見事な演技を見せてくれた。途中何度、彼女が突然何の脈絡もなく笑い出し「ある時は女教師……しかしてその実態は!」と教師服を脱ぎ捨て、「心の闇を暴き不埒な悪を裁く、天使諜報・神宮寺真琴!」と叫ぶやいなや、親たちに「娘のためとは真っ赤な嘘! 己の保身のみに暗躍し、被害者母娘の心を踏みにじり、あまつさえ証拠隠滅を図ろうとした悪徳保護者○○! お前らだけは許さねぇ!」と啖呵を切ってくれたらどんなに心が救われるだろうか、と本気で考えてしまった(笑) もちろんそんな展開にはならなかったものの、最後の死んだ生徒を思い、いじめに荷担した生徒への怒りを吐露する場面を見ると、今回の新任教師役も芯の部分で神宮寺真琴に一脈通じる強さを感じた。さすがの演技力である。

 今回の舞台を観劇して、改めて今本当にいい役者さんに囲まれて恵まれてるなぁ、と実感した。何とかまた近いうちに皆さんとともに映画、それもヒロインアクションを撮りたい、と切に願うのであった………