神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

検証「世界オープンタッグ選手権」

 日テレの「プロレスクラシック」が「世界オープンタッグ選手権特集」と題して、前半・後半に分けて番組にしていたのを、今回の再放送では2本纏めて放映。その後開催される「最強タッグ」の全身として「オープン」の名としては1977年のみ開催された大会。もう40年以上も前のことなんだけど、この時のことは鮮烈に記憶している。

 大会前は出場タッグチームを映像で紹介(まだ初々しい天龍が『天龍チョップ(突っ張り)』をするシーンを覚えてるなぁ)しながら、しっかり“前煽り”してたし、グレート草津ラッシャー木村の“国際プロレスコンビ”が懐かしかったし(かつて「国際プロレス」しか放映されない地方都市に住んでいたんで……)、そして最終戦ザ・ファンクス対ブッチャー・シーク組を観ながら興奮して、ニワカ“ファンクスファン”になったりと、すっかり当時のプロレスにハマッていたことを思い出す(;^_^A 勿論純粋にプロレスをスポーツとして観戦していた古き良き時代だ。

 さて、その最終戦なんだけど、ブッチャーがテリーファンクの腕にフォークを突き刺すシーンが、その痛々しさと共に、余りにも有名だ。何かの本には、帰りの機上でも痛みが治まらず、それを紛らわせるために酒をあおったところ、ますます痛み出して、結局アメリカに戻るまで一睡も出来なかった云々のエピソードも書いてあって、その凄惨さがひしひしと伝わってきたものだったんだけど、その後かのミスター高橋氏の暴露本を見て、今回この試合を再見すると、いささが過去のイメージとは異なる、いろいろな疑問が湧いてきた。

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 件のフォーク突き刺しシーンは試合の後半にあるんだけれど、その凶器に気付かず救援に向かおうとするドリーの進入ばかり阻止するジョー樋口の“わざとらしい”レフェリングもさることながら、その制止に素直に従うドリーの行動も解せない。もし「痛さで一睡も出来ない」ほどの凶器攻撃を実の弟がされているのならば、試合度外視で、レフェリーを突き飛ばしてでも救援に向かうはずだ。いくらクリーンなファイトが売りだとしても、解説者が「選手生命に関わる」腕への攻撃を手をこまねいて見守るはずがなく、そこら辺があまりにも不自然だ(よもや優勝賞金の1000万円に目がくらみ、弟救助で反則負けを取られたくなかった訳でもあるまい)。またテリーのケガの方も、確かにかなりの出血をしていたものの、当時初見で感じたほど傷がえぐれている訳でもなく、試合後の表彰式を観るにつけ、そんなに痛みを我慢しているような仕草は感じられなかった。


 何しろ当時はすっかり興奮して観ていて、只ひたすらブッチャーとシークが憎く、思いがけず全日本正規軍でもないサ・ファンクスを応援しまったんだけど、これが試合前に彼らが仕組んだ“アングル”だったのならば、私も含め観客はすっかりいい意味で騙されたわけだし、ブッチャーとシークは十分悪役としてのキャラクターを獲得できたし、逆にザ・ファンクスはこの試合をきっかけに日本国内で熱狂的な人気を勝ち取ったわけだから、双方にとってオイシイ展開だったといえる。そう思うと、同じアングルでも「伊勢丹襲撃」や「海賊男」「猪木舌出し失神」といった新日本の陳腐なそれと比較すると、如何にもスマートに感じられる。


 生憎全日本サイドには“ミスター高橋的存在”がいないんで、この真偽は未だ“藪の中”なんだけど、40年余りぶりに観賞した今回ぬぐいきれなかった疑問は膨らむばかりである……