神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

大林宣彦監督の遺志を継ぐ者

 今からちょうど1年前の2019年11月24日……忘れもしない、かのNTTクレドホールで、『海辺の映画館~キネマの玉手箱』ワールドプレミアに参加し、大林宣彦監督とお会いした(といっても壇上に上がった姿を生で拝見しただけだが……)日だ。それはまた、大林監督に最後に遭った日でもあった。そして、覚悟はしていたが『キネマの玉手箱』は同時に大林監督の遺作となってしまった。

 

 

 

 

 上記のように、ある程度覚悟していただけに、この時は2日前に広島市映像文化ライブラリーで上映された『異人たちとの夏』も観に行って、ゲストで登壇した大林監督と2016年8月(「全国高等学校総合文化祭広島大会」)以来の“再会”を果たした。そしてもう“時効”だろうから書くが、常盤貴子嬢もお忍びで来広・登壇も果たした。そして上記の25日を迎えたのであった。

 


 どんな時でもダンディズムとバイタリティーを醸し出していた大林監督が、すっかり「小さく」なって、車椅子で登壇する姿は痛々しくて仕方がなかったが、逆にいえば、こんな状態であの3時間にも上る破天荒な作品を撮り上げ、編集し、上映までこぎつけたことは今更ながら驚嘆に値する。そこには限りない映画に対する愛と、この上ない平和への希求が原動力になったこことは想像に難くない。それだけに、神様にはもう少し監督に“時間”を与えてほしかったと思ってしまう。そしてそんな大林監督の志を次代の映画監督たちが継承していくことの大切さを痛感している。

 

 

 それにしても、この11月には、その前の週に横川シネマ奥山和由プロデューサーのトークショーと共に『RANPO』(黛りんたろうバージョン)を観賞し、この週は上記の『異人たちとの夏』『キネマの玉手箱』と共に、その間にイオンシネマ広島で『ターミネーター:ニューフェイド』を観賞するなど、実に劇場映画観賞が相次いだ、そして多くのゲストに恵また、“濃い映画の時間”を過ごすことが出来た月だった。

 

 わき目もふらず「映画を撮ること」のみに腐心していた頃から、今は少し落ち着いて映画観賞に重きを置いているが、こうやって古今東西の映画に劇場で触れ、そんな映画界を支えてきた先人の話を興味深く拝聴することは、きっと今後の映画制作の糧になるだおう。そして再び制作の現場に戻ったときには、それこそ、おこがましいとは思いながらも、大林監督の遺志を継いで、映画創りに真摯に向き合っていきたいと考えている。命ある限り……