神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

笹森礼子!

 先日、チャンネルNECOで往年の日活アクション『俺は地獄へ行く』を観た。
  
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 これは後に“日活ダイヤモンドライン”に仲間入りする“エーズの錠”こと宍戸錠主演の痛快活劇で、主人公の譲次(宍戸)がメキシコで世話になった、莫大な遺産を残して死んだ老人ため、彼の初恋の相手を日本で探すというのが大まかなストーリーだ。
 
 勿論、「日活アクション」だけに、簡単な探偵話になるはずもなく、当然遺産のぶんどりを画策する暴力団や老人と仲の悪かった実妹の暗躍、そして、この手の作品には欠かせない“ニセ外人”藤村有弘が、ここでは日系メキシコ人を喜々と演じていて実に愉快だった。アクションも空撮に、ヘリによる追っかけ&銃撃戦とサービス満点で、劇中悪人は死ぬか逮捕、宍戸錠側の人間は皆無事、という典型的且つ爽快な“勧善懲悪”に仕上がっていた。こういう、テーマ性や社会性などを度外視した、荒唐無稽なB級アクションにこそ心を癒される。昨今のVシネヤクザものでさえ、陰謀渦巻く世界観に観ていて翻弄されてしまうので、この種の日活アクションは(そして裕次郎ではなく傍流の宍戸錠作品だけに)実に痛快だ。
 
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 ところで、この作品にヒロインとして登場するのが森礼子。実は数多の日活アクションヒロイン(別に自身がアクションするわけではないが)の中で、個人的にはこの森礼子が一番の贔屓だ(笑) 「つぶらな瞳」を絵に描いたような“昔風の美女”然とした顔立ちに惹かれる。東宝で「神宮寺真琴」を務めた藤山陽子嬢と同じく、森礼子も、初期のお嬢様然としたぎこちない演技から、本作では実に軽快且つ明朗、そして活動的なヒロインへと成長していた様な気がする。
 
 彼女が主に“トニー”こと赤木圭一郎のマドンナ役を務めていた、というのも、トニーファンの私にとっては惹かれる要素の一つだ。
 
 他の日活アクションヒロインと異なり、彼女は結婚を機にきっぱり芸能界から足を洗ったため、その後の消息は知れない。既に還暦は過ぎていることだろう。だが、それ故、森礼子は永遠にあの愛らしい姿のまま、映画史に残り続けることだろう。