神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『シンデレラの懸賞金』

 今から20年近く前、一本の長編シナリオを書き上げた。そのタイトルは『シンデレラの懸賞金』
 
 邪な男の横恋慕によって、結婚式前夜に誘拐・拉致監禁された花嫁を救うため、YSC(萬屋警備保障)の女エージェント・マユミが、マネージャー・橘明香の命を受け活躍する、というスラップスティック活劇だ。
 
 それまで濃厚かつ静的なファンタジー系の作品ばかり撮っていた私にとっては初めての活劇。ただ、元来『スケバン刑事』などのヒロイン活劇に造詣が深かっただけに、いつかは撮りたいと考えていたジャンルではあった。
 
 手前味噌ながら、書き上げた当時は「自分のやりたかったことが凝縮されているな」と一人悦に入ったものだが、如何せんあまりにも物語が壮大で、果たしてキャストは揃うのか? 殺陣はどうするのか? そして何より「自分で演出しきれるのか」? 等々の壁にいきなりぶち当たった。そこで、当時の数少ない人脈に出演依頼して断られたり、数名のインディーズ監督(中にはアクション専門の監督も)に演出を持ちかけて色よい返事をもらえなかったり、等あって、結局企画自体が頓挫してしまった。今思うと、この台本はPCではなく当時普及していた日本語ワープロで書いたもので、今となってはその時プリントアウトした1部しか残っていない。
 
 それから幾星霜を経て、遂に念願のヒロイン活劇『天使諜報★神宮寺真琴』を撮ったわけだが、最近になって再びこの『シンデレラの懸賞金』の台本を読み返すと、登場人物設定といい、キャラクターの台詞の言い回しといい、全て『天使諜報★神宮寺真琴』に受け継がれていることに気づいた。殆ど意識せず『神宮寺』の台本を書いていたのに……道理で『神宮寺』f台本執筆時に、台詞回しが思いがけず湯水の如く湧いてきたはずだ。
 
 そこで、『天使諜報★神宮寺真琴』の第三弾制作話が持ち上がったときに、先祖返りとも言うべき『シンデレラの懸賞金』のストーリーで撮ることを決定した。今ならば出演してくれるキャストも、殺陣をつけてくれるスタッフもいる。フットワークも過去と比べてずいぶんよくなった。但しそれでも流石にこのままでは話が膨大になりすぎるので、その点は『天使諜報★神宮寺真琴』のフォーマットに倣って30分程度の話に収めようと、一部変更するに至った。それでもおそらく、過去の2作品よりは長い尺になりそうだけれど。
 
 何はともあれ、新作の方向性も決まり、台本も準備が出来始め、ようやく『天使諜報★神宮寺真琴』新作の制作は軌道に乗り始めた。