神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『かわひらこ』

 去る18日、広島市西区民文化センターにて、QMF『かわひらこ』(吉松幸四郎監督)を観賞してきました。インディーズムービーの観賞は、 2月10日の「スクリーンライブHiroshima7th」、3月10日の「ひろしま映像ショーケース」に続いて今年3回目となりましたが、以下に作品の感想を書かせていただきます。

『かわひらこ』

 観終わってまず感じたのは、何とも「愛くるしい」映画だったな、っていうこと。初々しい主演の2人はさることながら、彼女らに関わる同級生たちを始め、実際にはそれぞれ心に深い闇を持った大人たちも含めて、心の底から“悪者”のキャラは一人もいなく、切なくも愛らし物語が進行していく。

 ロケ地は広島県竹原市のダムを望む田舎町だそうだが、逆に不可思議な世界に見えて、その中で役者が自然に息づいている。先日観賞した同監督の『雲の通ひ路』同様、事前に台本を用意せず、その場の雰囲気やノリで撮影を続けたそうだが、ソフトフォーカスの映像も含めて、本作の雰囲気には実に合った演出だったと思う。

 登場人物への監督の愛情も感じられた。主人公のサキと優花の友情が演技っぽさを感じさせない実にナチュラルな佇まいで、サキに好意を寄せるリョウも温かく描かれていた。そして、彼女らの幼なじみ(?)で、ある種ドラマ内の“ジョーカー”ともいえる自由奔放なマユコの、時折意地悪な仕草さえも、優しい視点で描かれていたと思う。彼女らに闇雲にラブレターを送り続ける男子生徒も、最近の映画のノリならば最後は狂気に走るところだが、決してそんなシーンもなく、最後は少女から花を贈られる、という粋な演出で救われる。

 対する大人たちの方は、両親・兄弟はおろか、彼女らの担任さえも、かなり重い闇を抱えて、下手をすれば昼間の東海テレビドラマのような様相を呈してもおかしくないのに、すんでの所で演出は踏みとどまって、この映画を決してドロドロとしたものにはしていない。そこら辺りのさじ加減も絶妙だったと思う。

 結末は今ひとつ掴めなかったものの、上映時間をまったりと過ごす、そしてホンワカした気分に浸る……そんな映画だったと思う。

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チラシ裏の何とも“オヤジ泣かせ”なこのスチール!!(;^_^A  当日はDVDがほぼ完売だったという(;^_^A