神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『カラフル』が繋ぐ一つの思い出

 先日、広島フィルムコミッションより、支援映画『HOMESTAY(ホームステイ)』がAmazon Prime Videoにて配信される旨のメールが届いた。本作が森絵都の小説「カラフル」の実写化で、広島を舞台にし、しかも市内の高校も関わっている旨を知った時、ある種の感慨を覚えた。

 

 

 今から10数年前に関わった高校放送部にその年入部した6人の新入部員は、顧問の映画好きの影響を受けてか、入部当初より番組制作、それもドラマ制作に興味を持った。その頃私は「月刊シナリオ」を定期購読していて、それを部室の書棚にずっと保管していた。放送部員たちが興味を持って読んでくれたら、との軽い気持ちだったが、件の新入部員は、3年生が引退し、2年生部員が0という環境の中、自分たちで何かやれないかと思索し、習作として、その保管してあった「月刊シナリオ」を題材にドラマ制作のまねごとを始めることになった。

 

 

 彼女らがその時使ったのが、「月刊シナリオ2000年11月号」に掲載されていた、森田芳光監督脚本の『カラフル』。『HOMESTAY(ホームステイ)』と同じ原作の、最初の実写化作品のシナリオだ。演劇部出身の1年生部長が中心となって制作が始まった。とはいうものの、衣装は主人公の男の子だろうが“天の声”だろうが両親だろうが医者・看護師だろうが。どの役も制服のまま、ロケ地は天上界だろうが病院だろうが食卓だろうが、全て部室か学内で行われ、芝居のみ行う、という感じだった。「月刊シナリオ」に題材を求めたのも、まだ自分たちでシナリオが描けなかったからにほかならない。結局、そのドラマは数シーンを撮影したにとどまり、作品として完成の目を見ることはなかったが、その時に演技・撮影・アングル。カット割りなどいろいろとスキルを磨いた部員たちは、1年生の秋にしていきなり放送コンクール県大会の(その年のみ開催された)「CM部門」で最優秀賞を獲得し(全国大会出場)、以後“賞獲りレース”には参加しなかったが、初の長編学園ドラマ『あの時、君が泣いたから』、“時かけ”のようなSFジュブナイル志向が強い『記憶』、本格Jホラー『リフレイン』、何と女子戦隊もの『戦徒会っ』といった映画・ドラマをチームワーク良く次々と制作し、広島市総合文化祭や広島市映像文化ライブラリーの「ひろしま映像ショーケース」において好評を博するまでになった(中には県外の上映会で流れた作品も)。それにしても、あの頃は、私の作品なんて明らかに凌駕するような、凄い作品をこの子らは撮っていたよ(゚д゚)!

 

 

 そんな私の顧問時代最強の世代の部員たちは、もう高校を卒業して等しい。その後大学で映画制作を続けた者、映像制作を目指して専門学校に進んだ者等々、今では社会人として活躍している(卒業後6人集まって作品を撮ったとの噂を風の便りに聞いた……)が、そんな“金の卵”たちが、その活動のきっかけとなった脚本『カラフル』と同じ題材の作品が、この広島の地で、しかも高校生も参加して制作された旨を知った今、上記のような出来事に、改めて思いを馳せてしまったよ(;^_^A