この阿南の屍を越えていけ!
これを記念日といっていいものか……12月8日は、今から丁度70年前に、日本が対米開戦した日だ。俗にいう「トラ、トラ、トラ」の日だ。しかし、昔は感じていた高揚感(それこそ映画『トラトラトラ』の影響か?)はない。戦争という悲惨な非常事態に翻弄された当時の人民の辛苦に思いを馳せるのみだ。
だから戦争映画といっても。『太平洋奇跡の作戦キスカ』以外は今更観る気がしない(荒唐無稽なアクションものの『独立愚連隊』シリーズは除くけど)。他は岡本喜八監督版の『日本の一番長い日』か。何といっても、三船敏郎演じる阿南陸軍大臣の存在感には圧倒される。中でも戦争終結の御聖断が下ったことを陸軍幹部たちに伝えるときの、
「不服な者は、この阿南の屍を越えていけ!」
は、何度も繰り返し見てしまう圧巻のシーンだ。また彼は、自らの自刃に際し、このように語る。
「生き残った人々が二度とこのような惨めな日を迎えないような日本に、何としてでもそのような日本に再建してもらいたい」
それから(実際の終戦から)66年目の今、果たして阿南大臣の危惧した日本になり始めてはいないだろうか……開戦の日に想う……
※ちなみに『日本のいちばん長い日』は“東宝”創立35周年記念映画として制作された。そして今年、“当方”の映画制作団体イチヱンポッポフィルムも、結成35周年を迎え、その記念映画として『YOSHIKOを探せ!!』を制作した。