「ひろしま映像ショーケース2020」観賞記
昨日(29日)、広島市映像文化ライブラリー主催の「ひろしま映像ショーケース」に参加してきました。勿論拙作『シューリンクス』が上映されるのもさることながら、年に一度の広島インディーズムービーの祭典、ということではせ参じた次第です(;^_^A
当日は、俗にいう「三密」を避けるべく、座席は映画館と同様、席を一つ飛ばしで開けて着席するよう限定されており、アルコール消毒液も完備された状況下で、それでも述べ30人程度の入場者に恵まれていたようです。
上映作品は、『かわひらこ』『おはぎ』『Lost of the memorial nuked Tile』、そして拙作の4本。うち『かわひらこ』と『おはぎ』はともに、以前レビューをしたためたことがあるので、以下にその記事をリブログしますが、『かわひらこ』は相変わらず、さき・優花のJCコンビが何とも可愛らしく、かつ「ラブレター少年」がとても印象的だったし、『おはぎ』の方は、クライマックスのシーンで、斜め前の席の観客が(おそらく感動して)涙をぬぐっている姿を目撃したのが印象的でした。
『かわひらこ』
「令和元年度スクリーンライブHiroshima」(『おはぎ』)
そんなわけで、ここでは今回初見となった、はまの省蔵監督が5年前に撮った『Lost of the memorial nuked Tile』について書かせていただきます。
アクションスターを夢見る主人公のしおりが、CDショップでショッピングをしている最中に、店員から怪しげなブレスレットを装着されるところから物語が展開していく。その直後、彼女の親友が半グレ集団に拉致され、シオリもまた集団のボスに痛めつけられた挙句、例のブレスレットが時限爆弾のように神経毒を発射する兵器であることを告げられる。そこから彼女は、友人の救出と自身に仕掛けられたブレスレットの解除という2つの命題に直面することとなる。時同じくして、彼女の祖母の形見であった原爆瓦がなぜが彼女の兄・サンシローの手によって武器商人の手に渡ろうとしていた。そこで彼女は、男友達を誘って祖母の形見を奪還すると、それを使って、ブレスレットの解除と親友の解放を同時に実現するべく、悪の組織と危険な交渉を開始するのであった……
本作の見どころは何といってもシオリを演じる宝来恵美のキレッキレのアクションに尽きる。ゴスロリ風の衣装に身を包みながら、屈強の相手と激しい肉弾バトルを展開するシーンは圧巻の一言! それもそのはず、半グレ集団のボス役で出演もしている、アクションの第一人者・キノシタケイタがアクション指導で関わっているのである。一応本作はヒロインアクションのカテゴリーに入るものの、その本気度は半端ない。曲芸の如く流麗なアクションがほぼワンカットの映像の中躍動している様は、観ていてただただ圧倒される。
また、物語の背景が果てしなく広い。件の形見の原爆瓦が、実は被爆直後の熱線で祖母の母親の指輪と瓦が融合した結果、放射能を無力化する不思議なパワーを秘めた希少核物質に変化した、という設定で、それを手に入れた国・組織は、それを有することで核戦争を起こしても自国は生き残ることができるため、逆に核戦争を誘発する「武器」と化す、という、『ゴジラ』における「オキシジュン・デストロイヤー」や『惑星大戦争』における「エーテル爆弾」に匹敵するアイテムとして登場するのである。ということは、この広島の場末で、世界を揺るがす事態が展開する、ということになり、その潔いまでの大風呂敷ぶりには舌を巻く思いだ。
そんな様々な要因を30分という短い尺に詰め込み、しかも一応のハッピーエンドで大団円を迎える、小粋なヒロインアクションの体裁をとりながら、そこに広島の命題である反核平和の精神をアンチテーゼとして描く巧妙なストーリー展開は素晴らしかった。
以上のように、3作品が全て個性的な大作として集結した、中身の濃いイベントでした。そんな中、既に完成後29年も経過した拙作『シューリンクス』が、しかも8ミリフィルムのテレシネビデオ→DVD化という極めて不鮮明な形でしか上映できなかったことは、フィルム素材独特の雑な音声も伴って、何とも心苦しかったのですが、上映後その場でいろいろと好意的な感想を頂き、少しはホッとした次第です(;^_^A だた、現在“広島発ヒロインアクションムービー”シリーズを撮り続けていますが、ここらへんでそろそろ所属団体「イチヱンポッポフィルム」の“先祖返り”のようなファンタジー(というか、今の私の手にかかればコテコテのメロドラマ?)も撮ってみたいという衝動に駆られました(;^_^A いずれにしても、まだまだ個人・サークルレベルでの上映会がままならない状況故、ここで映画制作も進めていかなければ、って強く感じました。
最後に当日の舞台挨拶と会場の様子を、石井カメラマンのスチールでご覧ください。