神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「稲妻のお蘭」逝く……

 私の“昭和”ガメラ体験は『大怪獣空中戦ガメラ対ギャオス』から。よって『大怪獣決闘ガメラ対バルゴン』は劇場観賞はおろか、TVで初見したのも高校生になってからだ。だから、エキゾチックなヒロイン・カレンを観たのはずっと後のこと。それよりも、まだ小学生ながら毎週勇んで観ていた『破れ傘刀舟悪人狩り』の勝ち気なレギュラー・稲妻のお蘭の方がよっぽとおなじみだったかな。今更改めて書くこともなく、共に江波杏子演じるキャラクターである。

 私の江波杏子観はというと、キツそうだけど気っぷのいいお姉さん、といったイメージだろうか。それはやはり、あの善悪どちらでもいけるシャープなルックスと、前述の『破れ傘刀舟』のお蘭役から来る江戸弁で捲し立てるが時折仄かな色気も魅せるキャラクターに由来するかも知れない。

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 そんな江波杏子の当たり役と言えば、大映時代の『女賭博師』シリーズで、彼女の"侠気"溢れる演技でヒットしたこのシリーズに対抗するために、鈴木則文監督が企画と脚本(そして1本のみ監督も)を務めたのが、かの藤純子主演の『緋牡丹博徒』シリーズというのだから、その影響力は絶大である。他にも『女殺し屋 牝犬』や『女諜報員 唇に賭けろ』といったイカすタイトルの映画にも主演している所を見ると、実は「ヒロインアクション」のカテゴリーに入れてもいいような女優で、今更ながら、もっと注目すべきだったと後悔している。

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 そう言えば、『破れ傘刀舟悪人狩り』第43話「運命の標的」では、生身の人間を弓矢で射殺す味を覚えてしまった狂った旗本達(北原義郎・天野新士)によって、その標的にされた江波杏子演じる稲妻のお蘭が、そこにあった木切れを手にして、勝ち気にも彼らと果敢に対峙するシーンが印象的だった。かの、園子温監督によるハチャメチャスラップスティッック"皆殺し"ギャグ『地獄でなぜ悪い』にも出演し、その晩年の姿を拝めたのも貴重なだったなぁ……

 享年76歳とはいえ、死の直前まで仕事をこなした上での急死だったそうな。何とまあ残念なことか。それこそ『女囚セブン』における梶芽衣子の役回りのような"ヒロインOG"ぶりをもっともって演じてほしなったなぁ……合掌