ゴラスと『スペース1999』
今日も日本映画専門チャンネルで『妖星ゴラス』のリピート放映がされていたので、NPBの広島vs讀賣戦と平行して観賞。劇中の時代設定によれば、我が高三の冬に地球に最接近するゴラスだが、広島歓喜の五連勝達成の瞬間と“隼号の悲劇”が時間的にカブる中、それ以降相変わらず手に汗握って地球大移動とゴラス最接近のシーンを見続けているうちに、どうしても当たり前すぎる疑問が脳裏をよぎってしまった(;^_^A
この作品の大いなる“法螺”は、南極に設置した無数のジェットパイプによって、地球を移動させるという荒唐無稽な設定に尽きるんだけれど、それ以上のいろんな、致命的な問題が当時の地球に発生していたことに気付いた。だから、ジェットパイプで地球が移動し始めた時の地球に、宇宙局に、地球人類の一員として緊急提言する。「早くジェットパイプを消火せよ! そして一目散に万難を排して北極付近に同様のジェットパイプを建設せよ!」と!
ご存知の通り宇宙空間は無重力の世界だ。よって一旦地球をジェット噴射で移動させたのならば、後は慣性の法則に従って新たな抵抗が及ばない限り、地球は等速で宇宙空間を永遠に移動し続けるだろう。もうジェットパイプの推進力に頼らなくても。しかし逆に「ゴラスをやり過ごした、めでたしめでたし」と、そんなタイミングでジェットパイプを消火してももう手遅れ……ていうか、ゴラスがどんなに質量の高い赤色矮星だとしても、そんなに移動が必要なのか? もう太陽系をはみ出しちゃうよ。しかも実際の映像では、ほぼブラックホール化しているはずのゴラスとすれすれですれ違う……これってどう繕っても無茶な話だよ! それに、早く北極から逆噴射して、且つ宇宙船のように、北極・南極双方で天文学的な数字規模の緻密なバランスを取らないと、もう地球は太陽の恩恵に授かれない。その上、元の状態と寸分違わぬ軌道に戻らないと、それだけで地球上の全生命は滅んでしまうだろう。とにかく後先考えない無茶すぎる作戦だったちょ言わざるを経ない(;^_^A
ところで、このことで思い出したのが、かのアンダーソンプロ制作のSFドラマ『スペース1999』だ。あのストーリーも、月世界で処分していた核物質が暴発して、その影響で月が地球を回る軌道を逸脱し、上条恒彦の主題歌よろしく「ムーンベースアルファは迷い星~♪」と化してしまうものだった。それと同じことを地球で、しかも人為的に行うのが『妖星ゴラス』だ。
他にも、約2年かけて地球に接近するはずのゴラスが、その時既に土星探険が目的の隼号が接近できるくらい太陽系に近づいていて、しかもそんな長い時間をゆっくり移動したにもかかわらず、地球とのすれ違いではしっかり目視できる程のスピードで進行していたところや、それでいて月だけは吸い取ってしまう設定など、冷静に考えたら「それはないよな」って思うシーンも多い。ただそれさえも許容できた、想像力溢れる1960年代の否認人に邦画ファンに、そして作り手たちに、本当は敬意を表したいと、真面目に思っている(^^)