神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『おしどり右京捕物車』

 またもや「時代劇専門チャンネル」ネタなんだけど……

 現在22:00の枠で『おしどり右京捕物車』が放映されている。全26話(2クール)だったから、来週には終了してしまうんだけど……

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 この『おしどり右京捕物車』ってのは、凄腕の北町奉行所与力だった神谷右京が悪党・野洲の蔓像一味の罠によって半身不随の重傷を負わされる。それによって与力の職を辞するのだけれど、持ち前の正義感と卓越した鞭さばきの腕を以て、元同僚与力・秋山左之介の依頼を受け悪党退治の「下請け与力」となる、という物語である。

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 このドラマで特筆すべき点は、半身不随の彼が、愛妻・はなの押す手押し車に乗って移動し、且つ悪党と戦う、という点に尽きる。あたかも「子連れ狼」で大五郎が乗るような木製の手押し車に大の大人、それも体躯のがっしりとした男が載り、華奢な妻が着物姿で押す、というビジュアルは、当時小学生だった私にとってもかなり強烈なインパクトを与えられたものだった。その重い車を妻・はなは縦横無尽に必死になって舵さばきし、主人公の右京はハンディキャップをものともせず、時には危機に陥ることもあるけれど、なんとか乗りきって悪を討つ。

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 登場人物は『木枯らし紋次郎』の中村敦夫(この手の時代劇には欠かせないどころか、実生活においても野党政治家として、同じく刑事ドラマ俳優から転身した横光克彦と共に、一時は“悪党”与党に闘いを挑んでいた)、そして妻は「魅せられて」の大ヒット前夜のジュディオング、また元同僚の秋山に前田吟、といった布陣。中でもジュディ・オングは、当時「東洋人」という概念がなく、「どう観ても日本人にしか見えないのに、名前が横文字なんだ?」と不思議に思ったものだった。

 前述のように、本作は往年の『丹下左膳』を筆頭に、勝新の『座頭市』、松山容子の『め●らのお市』、若山富三郎の『唖侍』と連綿と続く“ハンディキャップ時代劇”のカテゴリーに入る傑作時代劇ドラマである。どうも時代背景として、世が世なら『助け人走る』の後番組になったかもしれないそうである。実際本作は「必殺」シリーズのスタッフで取られていたみたいだし。もっとも本当にそうなったら、事件の煽りを受けて「必殺」のタイトルを自粛していた朝日放送のことだから、本当に「必殺」から撤退していたかも知れない。そう考えると、本作が別の形、別の枠で放映されて良かったと思う。

 あまり時代劇を観る方ではなかったが、70年代には、それでも結構好きな時代劇が多かった。「必殺」シリーズにしても『必殺必中仕事屋稼業』辺りまで。そして『影同心』、『破れ傘刀舟悪人狩り』、そして本作などは、小学生ながらそれこそ必死になって観ていたような気がする。もっともそのストーリーの殆どは忘れてしまったけど、こうやって何十年もの時を経て、まさか再び『おしどり右京捕物車』が観られる(実はタイトルさえ忘れかけていた)とは………

 今私の中で「時代劇専門チャンネル」は重要な位置を占め始めている……(;^_^A