神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

リメイクは“保険”じゃない

 こんな記事を見つけた。

「純粋に“映画”として評価された『CASSHERN』」
https://cinema.ne.jp/friday/casshern2017050517/

 紀里谷和明監督の実写版『新造人間キャシャーン』ともいえる『CASSHERN』は、正直あまり面白くなかった。それはひとえに原作のアニメのイメージが強く、その純粋なる実写版を期待したからに他ならない。それは昨今雨後の竹の子のように量産される「往年のアニメの実写版」映画に対して常に求めるものなんだけど、実際なかなかそんな作品に恵まれていない、というのが実情だ。強いて言えば『妖怪人間ベム』『ヤッターマン』ぐらいか。

 しかし上記の記事では、上記のような理由で映画ファンや原作ファンから散々バッシングを受け、すっかり“駄作”のレッテルを貼られたと思われていた件の『CASSHERN』が、現在30代の原作を知らない層からはとても好意的に受け入れられり、海外では多くのファンを獲得した事実が語られていた。つまり“原作”“オリジナル”の呪縛が、一つの映画の評価を歪めてしまった一つの例として挙げられていた訳だ。このように、邪な“オリジナル信仰”によってバッシングされ、観もしない者たちまでもが“レッテル張り”に“荷担してしまった、隠れた名作もきっと多かったに違いない。

 しかし、こうも思う。そもそも何故過去の作品の実写版リメイクをするのか。ていうか、何を求めてリメイクするのか。そこにはオリジナルのファンを取り込もうという営業サイドの都合が歴然とあるはずだ。そうなると、やはりリメイクはオリジナルにある程度忠実であるべきだ。逆に新たな要素・展開・作り手のオリジナリティーを前面に押し出す映画を作るのであれば、徒にリメイクなど撮るべきではない。上記の『CASSHERN』など、オリジナルになくそれでファンの不評を買った部分こそ、オリジナルを知らない層に受けたのだから、“色眼鏡”で見られない完全なる新作映画として世に出た方がどれだけ幸福だったか、なんてどうしても思ってしまう。

 どうも邦画界には、リメイクをある種の“保険”ととらえている節があるので、なおさらそう思うよ………