コーマンスクールの“親不孝者” 来世でまた輝け!
もともと大学で獣医学を学ぶような理系のインテリだったのに、何の因果か映画界へ。その世界でロジャー・コーマンの目に留まり、撮った映画が『女囚刑務所・白昼の暴動』ってえんだから素敵な映画人生のスタートを切ったと思うよ(;^_^A
もっとも彼の名を全世界に知らしめたのは、何といっても『羊たちの沈黙』だ。かのアカデミー賞で作品・監督・脚本・主演男優(アンソニー・ホプキンス)・主演女優(ジョディ・フォスター)の5部門を受賞したトップレベルの映画だが、実は猟奇殺人という、ドライブインシアター系のハーシェル・ゴードン・ルイス辺りが撮りそうなネタだったりするのが何とも嬉しい(;^_^A くだんのロジャー・コーマンが本作にFBI朝刊役でカメオ出演している件も、師弟愛を感じさせて実に微笑ましい。
B級ムービーからスタートしたジョナサン・デミ監督が『羊たちの沈黙』という“金塊”を掘り当てたことはとても素晴らしいし、逆にそれで“コーマンスクール”にまた新たな“箔”がついたことも喜ばしいことだった。
そんなジョナサン・デミ監督の訃報が届いた。御歳73歳。師匠のロジャー・コーマンより18歳も若く、しかもコーマン御大は未だ健在であることを考えると、何とも親不孝な話だ。これじゃ“野辺の送り”も出来ないじゃないか……
ただ時が経てば、コーマン御大もコーマンスクールの面々も、いずれ鬼籍に入る時が来る。それまでにあの世でしっかり“コーマンスクール”の下地をこしらえて、来世でまた楽しい娯楽映画をメンバー力を合わせてバンバン撮ってほしい。私も近い将来、観賞にはせ参じるから……合掌
代表作に「フィラデルフィア」(1993年)や「クライシス・オブ・アメリカ」(2004年)などがある。アメリカ連邦捜査局(FBI)の女性訓練生が連続殺人事件に迫る「羊たちの沈黙」(1991年)で、アカデミー賞監督賞を受賞した。
「フィラデルフィア」に主演し、アカデミー賞主演男優賞を獲得したトム・ハンクス氏は、「ジョナサンは私たちに、人間はどれほど大きな心を持っているか、そして、それが私たちがどのように生きるか、また生きるために何をすべきかなどを導いてくれると教えてくれた」などと声明で述べた。