神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

大切なことは特撮ドラマやB級映画が教えてくれた

 いくらハリウッドの“良識派”がアクション大作の中で「苦悩するヒーロー」を描いて見せても、所詮アメリカ国民はトランプなんて輩を無自覚に大統領にしてしまう空しさ。その事は我が日本国にも言えることなんだけど……ヾ(--;)

 それでも初老に差しかかった“東京五輪”前後の世代は、映画やテレビドラマを通て、“いろんなこと”を教えてもらった。特に「勧善懲悪」のヒーロー活劇であるはずの『ウルトラ』シリーズを筆頭にした一連の円谷特撮ドラマには、そんな“裏の教材”が満ちあふれていた。

 民族差別問題を内包した『帰って来たウルトラマン怪獣使いと少年』は言うに及ばず、異文化排除を糾弾する『ウルトラセブン・ノンマルトの使者』や『戦え!マイティジャック・来訪者を守りぬけ!』、軍拡競争の末路を描いた『ウルトラセブン・超兵器R1号』、そして人間同士の絆の大切さと危うさを言及する『ウルトラセブン・狙われた街』や核被爆の恐怖と戦争責任を問う『怪奇大作戦・死神の子守唄』、果ては人間の奢る心を戒める『帰って来たウルトラマン・タッコッングの逆襲』に至るまで、いろんなことを我々に教えてくれた。

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 もしこれらの内容を、学校で、それもNHKの教育放送の番組あたりで教えられたとしても、全然響かなかったし、吸収も出来なかったと思う。それが上記の番組で十分当時の子供達の心に響いたのは、やはり子供達の大好きな「怪獣」「ヒーロー」が活躍するドラマの中でそこはかとなく描かれたからに相違ない。まさに劇薬の「正露丸」を「糖衣」して呑みやすくするように、耳障りは悪いが大切な生きる教訓を、「特撮ドラマ」という“オブラードに包んで”当時の子供に送り届けたことが功を奏したと思う。そこには、沖縄出身で問題意識を持っていた脚本家の金城哲夫上原正三、または佐々木守や監督・東条昭平らの巧みな演出があったことは、疑いようのない事実である。

 残念ながら、そんな“教育”を受けたはずの我々の世代の中に、実は「ネトウヨ」なる妄想家が多いのは嘆かわしい事実だ。そんな輩は特撮ドラマが教えてくれた「差別禁止」「異文化尊重」「平和主義」「反核」の教えをいつの間にか忘れて、「自分さえ良ければいい」選民思想に陥ってしまったんだろうな……嗚呼、情けない。

 ところで、特撮ドラマ以外にも、批判精神をそこはかとなく醸し出してくれるジャンルがある。それは以外にも東映プログラムピクチャー。中でも鈴木則文監督の一連の作品は、エログロナンセンスな娯楽映画の中に、しっかりと権力批判を織り込んでいて、そのテクニックはあたかも“サブリミナル効果”のようだ。監督のB級な部分のみをからかう批評は多いが、口あたりの軽いそんなお気軽B級娯楽の中にどれだけ真摯な“弱いものへの愛情”が込められているか、是非監督の作品、とりわけ今でもDVDで手に入る『徳川セックス禁止令 色情大名』『エロ将軍と二十一人の愛妾』『堕靡泥の星 美少女狩り』辺りから観てほしい。

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 最後に改めて鈴木監督の座右の銘を……

 「今までに、政治が、文学が、弱い人の味方をしたことがあったか!?だからせめて映画ぐらいは弱い者の味方であってもいいじゃないか、なんて言ったら格好つけすぎかな」