神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

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『ビリギャル』感想 ~王道ストーリーに酔う~

 『ビリギャル』、正式タイトル『学年ビリのギャルが1年で偏差値を40上げて慶應大学に現役合格した話』をようやく観賞。この作品は、現在一押しの女優・有村架純主演の映画として、早くから興味を持ってはいたものの、「知的な昭和美女」の佇まいをもつ彼女が髪の毛をパッキンに染めた映画のビジュアルに抵抗感を抱いてしまったため、今日に至るまでなかなか鑑賞の機会に恵まれなかった作品だ。だが実際に観てみると、意外に清々しい映画だったよ(;^_^A

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 ストーリーはタイトルの通り、成績クラス最低の“ビリギャル”こと工藤さやか(有村架純)が、高2の夏に出会ったとある塾教師・坪田(伊藤淳史)の指導によって、学業成績を上げていき且つ人間的にも成長し、2年後の高3で、晴れて自分の目標を実現する、というのが大まかなストーリーである。非常に単純明快な物語に、登場人物は皆ベタなくらいはっきりした性格付けがなされていて、更に前出のタイトル及び実話の実写かということから、既に主人公が慶応大学に合格するのは分かっているので、何より安心して観られるところが素晴らしい。こんな“王道”ストーリーには賛否両論もあろうが、このおかげで本作が意外にノンストレスな作品に仕上がっている所以だろう。

 本作の真の主人公は塾講師・坪田である。時折心の揺れを魅せるものの彼の泰然自若とした態度、さやかをして「ポジティブ過ぎる」と言わしめる安心感と熱血ぶりで、観ていて実に清々しい。また主人公のさやかも。当初は「有村架純にパッキン?」っていぶかしく思ったものだが、意外にヤンキーぶりも板についていて、改めてこの女優のスキルの高さを思い知らされた。思えば実際、顔は可愛いけど言葉は横柄態度はぞんざい(ミニスカのまま平気であぐらを掻く等々)なんて若い子は巷にいっぱい溢れてるし……(;^_^A  一方敵役も言えるさやかの嫌みな担任役を安田顕が嬉々として演じているのも楽しい。劇中「慶応に受かったら全裸で校庭を走ってやる」と豪語し、その落とし前をラストきっちり勤め上げている律儀さは爆笑モノだった(股間の熊の縫いぐるみがキュート!(;^_^A)

 物語は大学受験を軸にしながら、同時に工藤家の家族の絆についても描かれていて、野球一途な父親(田中哲司)、その期待に応えるべく野球に没頭するさやかの弟(大内田悠平)、そして息子に入れ込んで他の2人の娘を顧みない夫に気を病みながら、じっと堪え忍ぶ(そしてクライマックスで遂に爆発してしまう)さやかの母“あ~ちゃん”(吉田羊)といった家族の葛藤が、これまた結構分かりやすく展開していく。そしてこちらもそれなりに解決を迎えていたりする。後腐れもないように………

 ラストは例の“逃げ恥”といおうか『時をかける少女』のエンディングタイトル風に、登場人物がリレーで歌う(でも口パク)にサンボマスターの歌テーマ曲が被さる、という手の込んだ演出がされていた。「ああ、このやり方もありだ!」って思ったね(;^_^A  それにしてもこんな作品のテーマ曲にはサンボマスター真心ブラザーズ辺りがしっくり来るんだろうな(;^_^A

 ところで、この映画に登場する塾の年老いた塾長が、そのラストシーンでいきなり箒をギターにしてはね回っていたので「何事か?」って思ったが、この塾長を演じていたのが、かの伝説のミュージシャン・あがた森魚だったのには、知ってから大いに驚いたね(;^_^A