神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『カイト/KITE』 屈強にして“足手まとい”なヒロイン……

 どうも“懐古主義”の傾向にある当ブログなんだけど……今回は割と最近の映画について……

 『カイト/KITE』という映画を観た。本作は2014年に公開され、最近(といっても半年くらい前)DVD化されたばかりの作品だ。元々日本の18禁アニメを原作にしたヒロインアクションムービーとあって、エロス&バイオレンス、そしておびただしい血糊の量や痛々しさに充ち満ちている。

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 物語は、法と秩序の乱れた近未来(いつもこんな設定ばかり……)、人身売買組織が街を支配し、若い娘を商品のように取引していく世界を舞台に、そこで両親を殺された少女・サワが、警官であった父の元同僚・アカイに引き取られ、訓練を施されて復讐に燃える“殺戮マシーン“と化し、組織に戦いを挑む、という“ありがち”な王道のストーリーだ。そこへ、能力の代償に記憶を失っていく秘密の麻薬を取り巻く主人公の葛藤や、協力者となっていく若い男性とのほのかな恋心といった、これまた“いかにも”なサイドストーリーが脇を固め、そして結末の“やはり”大どんでん返しにいたる……となれば、さぞ爽快な作品に仕上がっているように見えるが、何故かそこまでノレなかった……ヾ(ーー )

 それというのも、主人公のサワがあまりにも直情的で、感情の赴くままに軽率な行動を取るため、やたらピンチに陥り(それも「手に汗握る」というよりは「なにやってんだ!」って醒めた視点で突き放したくなるような場面ばかり)、その都度“停滞”を繰り返しし、物語が一気に突き進んでいかない。そこら辺りが何とももどかしかったりする。

 この手のドラマには、ヒーロー(もしくはヒロイン)に対峙するか弱い娘が、己の非力さも顧みず戦闘の場にしゃしゃり出て、人質になるなど却って主人公の“足手まとい”になることが多いが、殊、このサワは、まさに一人で“屈強のヒロイン”と“足手まといの娘”を同時に演じているようで、何ともまどろっこしい。そんな危機さえも“力業”で強引に乗り越えるだけのキャラクターに設定されているだけに、もっとクールに、躊躇なく早業で悪党を片っ端から無慈悲に倒してほしかったよ……(;^_^A

 この『カイト/KITE』のサワ(インディア・アイズリー)は、設定年齢においても血飛沫まき散らしの激アクションの点に関しても『キック・アス』のヒットガール(クロエ・グレース・モレッツ)と双璧をなすヒロインだが、キャラ的にはヒットガールの方に“ストレート”な分軍配を上げざるを得ないって感じかな。でもすっきりしない「きらい」はあるものの、本作もなかなかの“強い”ヒロインアクションとして、それなりに楽しめる出来だったとは思うよ(^^)

 ただ、昨今のアクションヒロインの多くが、武器を使って大量に残虐に血飛沫上げて殺戮する傾向にあるのはちょっと残念だ。そんな役回りは「市」や「拝一刀(トミー版)」、「仕事人」に任せておいて、もっと“か弱いけど相手が勝手に倒れてくれるような”緩いヒロイン映画の方が観たいものだよ(;^_^A