神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『ヤッターマン』  実写によるアニメのパロディ化

 三池 崇史監督によるアニメ(漫画)の実写化には、ある種愚直なまでの原作世界再現と、「だからこれって、まんま実写にしたらとんでもないことになるでしょう」的なパロディ感覚に充ち満ちていると思う。まさに“実写によるアニメのパロディ化"だ。

 先日、ようやく『ヤッターマン』を観賞する機会に恵まれた(CSの「チャンネルNECO」)。元ネタのアニメをリアルタイムで観ていた世代なので、果たしてどんな作品に仕上がっているか……戦々恐々として観賞したのだが、ものの見事に“ヤッターマン”だった。

 キャスティングに関しては文句なし。今のご時世を考えれば、一号が櫻井翔ってのも頷けるし、ケンコバ・生瀬の“トンズラ・ボヤッキー”も実にはまっていた。鼻っ柱の強い二号役の福田沙紀も全然アリだったし、映画用キャラ・海江田翔子役の岡本杏理も鼻血を垂らされる程の体当たり好演。そしてその父親・海江田博士の阿部サダヲは、ここ最近の愛嬌があって健気なキャラとは一線を画し、かの『うずまき』で轢かれたカタツムリのように無惨な最期を遂げるキャラを彷彿させる粘液質な演技を魅せてくれた。そして何より、ドロンジョ役に深田恭子を配した三池監督のセンスには脱帽したね!

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 確かに妖艶ながらドジキャラとして女性観を醸し出すことに乏しかったドロンジョも、考えてみればボンテージファッションに身を包んだ女王様のような出で立ち。おそらく私が監督ならば天海祐希のような役者しか想像つかなかったところに、“女性観ムンムン”の、ここも“可憐な”深キョンを配するとは……! 個人的には『ワイルド7』をはじめ“こっち側女優”の第一人者でもある彼女のキャスティングは大いに胸ときめいたし、実際観てそれは確信に変わったね(^^)

 物語の方は、確か1年以上続いた原作アニメの世界観を(井口監督の『電人ザボーガー』と同様)上手くまとめていたと思う。主力メカ「ヤッターワン」から「ヤッターキング」への橋渡しも、これまた『電人ザボーガー』のザボーカーからストロングザボーガーへの変換よろしく、
実にスムーズだった。

 この作品の特徴としては、主人公ヤッターマン一号とドロンジョとの禁断の愛が挙げられるだろうが、私としては、冒頭の戦闘による首都圏破壊の様相や、中近東に向かう過程であまりにも過酷な旅行行程に両ヤッターマンがふらふらになるとか、ドロンボー一味への任務遂行失敗における“お仕置き”が如何過酷だったのか……云々を実に楽しませてもらった。アニメではさらっと誤魔化していた描写を敢えて生身の人間に演じさせることによって、そこにあるハチャメチャさ、馬鹿馬鹿しさ、荒唐無稽(というか無理!)を十分に醸し出している。ここら辺りは、後発の『愛と誠』にも大いにいえることなんだけど、原作にリスペクトしつつ、それ故忠実に世界観をまんま構築することによって、逆に爽快なおかしさ、面白さを描き出す三池監督の“ハマッタ”時の演出に大いに賛同する次第である(^^)

 正直、個人的には“当たり外れ”の多い三池監督だが、本作をはじめ、『極道残酷劇場 牛頭』や『愛と誠』、『ゼブラーマン』(ここでは渡部篤郎に“渡部篤郎のパロディー”をさせてたっけ……)といった大好きな映画を世に生
み出してくれた、偉大な監督であるといえる。

 それにしても三池監督って、私とそんなに歳違わなかったんだなぁ……勿論彼の方が年上なんだけど……