神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

桃さん、逝く……

 本来、今日の900回目の記事では、ひとつの私にとって大きな発表をするつもりだった。しかし別の意味で大変なことについて書くことになろうとは……
 
 “健さん"を心の中で“看取った”ばっかりなのに、今日は“文太兄ィ”の訃報を知ってしまうとは……嗚呼
 
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 かつて、「土曜ワイド劇場」の枠で邦画がよく放映されていた。そこで初めて観たんじゃなかったかな、『トラック野郎』。それまで、菅原文太という俳優は、高倉健以上に怖く、そして“遠い”存在だった。その少し前に、我が広島を舞台にした東映実録路線のエポックメイキング『仁義なき戦い』に出ていたことは知っていたが、当時はヤクザ映画事態が恐ろしく、とても観る気がしなかった。そんな“遠くて怖い”菅原文太が、延々わかりやすすぎる性格でお子様ランチのようなギャグを展開している、そのギャップに度肝を抜かれたことだった。今まで怖かった『仁義なき』の“広能”と『トラック野郎』の“桃さん”は全くの別人だった。
 
 それから、土曜ワイドのみならず、年末年始に深夜必ずあった『トラック野郎』を、欠かさず観るようになった。中でも、四国を舞台にした『天下御免』が今でも一番のお気に入りだ。その流れで、就職後、ついに『仁義なき戦い』に手を出し、『広島死闘篇』の大まじめだかギャグだが判らないような展開に、また唖然としてしまった。まあ、こっちの方は、全作観たけど、やはり『広島死闘篇』が一番だった(内容は“番外編”だったけど……)。
 
 思えば、同じ“ヤクザ映画上がりのスーパースター”でも、高倉健が徐々に大作中心の大御所になっていったのに対して、確かにTV版「幸福の黄色いハンカチ」主演はあったものの、菅原文太は潔いまでに往年の“泥臭さ”を失わず、そして晩年は芸能界と一線を画して、草の根の市民運動にいそしんだりもした。それだけに、今このタイミングでの逝去は残念でならない。
 
 個人的には今から四半世紀以上前、大分で在学中、大分のデザイン会議のゲストに呼ばれた菅原文太とその肉声を生で見聞きできたのが、せめてもの救いだろうか……
 
 『仁義なき戦い』の広能、『トラック野郎』シリーズと、鈴木則文監督ロマンポルノ作品『堕靡泥の星 美少女狩り』カメオ出演の“星桃次郎”、また新東宝“ハンサム・タワーズ”当時の『九十九本目の生娘』における“警察官・阿部政之”などなど、想い出しても枚挙に暇がない。それにしても、今回の訃報記事に『まむしの兄弟』『仁義なき戦い』『トラック野郎』のタイトルが踊るのは、まさにB級娯楽に殉じた菅原文太御大の面目躍如、といったところだろうか……
 
 則文監督、健さん、文太兄ィ……あなた方が遺した“三角マークの心意気”を、インディーズムービーながら、謹んで受け継がせていただきます! 文太兄ィが活躍したこの広島の地で……!  合掌。