『エクスペンダブルズ』
『エクスペンダブルズ』をようやく“正式”に観賞した。そのタイトルの意味と我が境遇を照らし合わせて、勝手に感情移入していたのに、肝心の作品は以前地上波で放映されていたときにラスト辺りを観ただけ。そんなわけでDVDで最初からしっかり観させていただきました
さて、今更ストーリーをここに紹介するまでもないが、“消耗品集団”ことスタローン(ロス)率いる傭兵集団が、地域の紛争や事件を“力づく”で解決する痛快アクションだ。ここでターゲットになるのは海賊や中米の独裁政権など、如何にも“大国”の敵になりそうなものばかり。かろうじて、中米の独裁政権の方は、その裏で糸を引いている元CIAのエージェント(白人)が最大の悪役ってところでバランスを保とうとしているみたいだけどね
そんなストーリー展開の中、スタローンと独裁者の娘であるエキゾチックな女性とのほのかなラブロマンスも絡めてはいるが、全編アクションに次ぐアクションで、殆ど台詞なんて必要ない勢いだった。ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、ドルフ・ラングレンといった“それでも”活きのいい面々が前面に活躍し(ドルフは途中リタイア)、そこにミッロ-・ローク、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーといった大御所ながら文字通り“エクスペンダブル”な面々が脇を固め、「やや皺の目立つ面々が、お子様ランチのようなバカ派手アクションに興じる」という、加齢臭世代の夢のような物語を力業で紡ぎ出してくれている。
この手の傭兵モノは『ワイルドギース』を筆頭に、仲間の死という悲劇が必ずつきまとうモノだが、こと本作に関しては、主要メンバーは皆無事生き残り、逆に敵役はほぼ基本的人権を蹂躙されたような悲惨な大量殺戮に晒される。特に元CIAのモンローにそそのかされた将軍の命令によって戦うヴィレーナ国の兵士など、改心した将軍の殺害後は別に殺されるいわれもないのに、それからもバッタバッタとブチ殺されていく。また、その殺戮手段も、胴体を真っ二つにされるとか、首を吹っ飛ばされるとか、手をぶった切られるとか、もうやりたい放題。ただCGの普及による馬鹿馬鹿しいまでの超リアルさと、それに慣れた観る側の安心感とで、もはや“ギャグ”の域に達している。その点は、これだけの大量殺戮を、ある種の爽快感を持って見届けられる、よって「スカッとする」爽快感を我々に与えてくれる大きな要因になっていると思われる。
「映画」という虚構の世界故許される、この“力による事件解決”の醍醐味。みんなこんなことぐらい判って観ているはずだ。昨今、凶悪事件が発生する度に、この種の“暴力映画”の影響を声高に論じたり、安易にそれを動機として責任逃れを試みる犯罪者が後を絶たなかったりするが、そんな幼稚な理由で、この種の映画を批判するのはもう止めていただきたい。もっと馬鹿馬鹿しく笑い飛ばして楽しめばいいんだよ、こんな映画は!