神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

『猫目小僧』

 今日のCS映画鑑賞は『猫目小僧』。かつて、従来のアニメとは異なる「飛び出す絵本」(これ知ってるかな?)のような静止画のコラージュで描かれた“変化球”な方式(“劇メーション”というらしい)で放映されていたのは何度か観たが、この作品はまさかの実写版。しかも監督は、後に我らが『電人ザボーガー』を世に送り出した井口昇監督。
 
イメージ 3
これが“猫目くん” 物語世界もまさにこのスチールのようだったよ
 
イメージ 2
こっちは中学時代にやってた『妖怪伝 猫目小僧』のほう
 
 2005年公開という、かれこれ10年近く前の作品で、今見るとさすがに技術の面でチープな印象は否めなかった。あの“猫目”をCGではなくメイクで描くことには限界を感じたが、それでも観ているうちにしっかり“猫目くん”に感情移入できるから不思議だ
 
 作品世界は、人間界と相容れない宿命を背負った猫目小僧の恋心や葛藤を軸にしながらも、村全体を恐怖に陥れる(ゾンビのような怪人を増殖させて次々人々を襲う)妖怪ギョロリ(これが特殊メイクの竹中直人!)と猫目小僧の死闘を描く、一大エンターティメントに仕上がっている。人間の口から潜入してゾンビ化させるシーンは実に艶めかしく、アクションシーンも実に軽快だ。しかしながら、単なるアクションホラーに止まらず、猫目小僧のみならず、彼がほのかな恋心を抱くヒロイン・まゆかも生まれたときから顔に痣があり引っ込み思案で劣等感を持っている、という複雑な人間描写もあり、ラストに向かって、アクションだけではなくまゆかの葛藤も丁寧に描かれていて、なかなか感動的な展開だった。
 
イメージ 1
まゆか役の石田未来嬢は実に可憐
 
 この作品の台本を書いたのが『幸福のスイッチ』の安田真奈監督(あえて“監督”と呼ぶ)。8Film時代に『ヒトチガイ』というサスペンスホラーを撮っているが、他は実にハートウォーミングなドラマが中心で、この『猫目小僧』の脚本を手がけたここと知った時には意外な感があったが、ようやく本作を観賞できて実に納得。あの主人公の繊細な描写は、まさに“安田監督ワールド”だと実感したね
 
 ちなみに安田監督は、98年にイチヱンポッポフィルムのレーベルで1本、『Listen to CAMERA』という作品を撮ってもらっている、ご縁のある監督である。この作品の詳細については、是非当団体のHP(http://ichienpoppo.web.fc2.com/)でご覧いただきたい。