「闘うセーラー服」の歴史と考察
今まで連綿と続くヒロインアクション(俗に“JKアクション”とでも言おうか)において、“ブレザー姿”で戦うヒロインは、殆どお目にかかったことがない。なんと云ってもセーラー服。それがリアルなJKであっても、スベ公アクションのような明らかに薹(とう)がたった女優でも、セーラー服はヒロインアクションに欠かせないユニフォームだ。
最近のリアルなJKはすっかりブレザーが一般化して、逆にセーラー服を見る機会はうんと減ってしまった。しかしまだ60~70年代にかけては全盛期とまでは行かなくても、まだ「女学生といえばセーラー服」というイメージが定着していた。そのためか、若い娘たちへのオジサン世代の郷愁も相まって、セーラー服は“学園の戦闘服”である以前に、女学生を意識させる“下世話な”アイテムとなって、長くピンク系映画のタイトルに冠されるという不遇の時代を送ることとなった。薬師丸ひろ子主演で『セーラー服と機関銃』の制作が発表されたときも、ピンク映画と見紛うタイトルに、彼女のキャリアを心配する声も聞かれた程だった。もっともこの件は80年代の風営法改正(「特定の職業・身分(特に未成年)を現す用語をタイトルに使用してはならない」)によって、ポスターからスチールも文言さえもなくなっていったが……
そうして、セーラー服の持つ本来の意味あい、「海軍の水兵が着用する軍服」に重きを置くことになっていく。多少うがった見方だが、80年代中盤から始まった『スケバン刑事』に始まる一連の“東映系ヒロインアクション”が『少女コマンドーいづみ』から『セーラー服反逆同盟』に至るまで白・紺織り交ぜてのセーラー服アクションに彩られたのも、この風営法改正に拠るところが大きいにではないだろうか。確かにこの頃を境に、セーラー服から“色気”が排除されていったような気がする。
純粋にアクションヒロインが纏うユニフォームとして地位を取り戻したセーラー服。一時期の邪なイメージから解放され、もっともっと“戦うヒロイン”の必須アイテムとしてその輝きを増してほしいと思う……なんてね