「鬼婆」は広島発清純派ヒロイン?
今日は節分。節分と云えば「鬼」。そこで「鬼」ヒロインに思いを馳せてみた。かといって安易にメジャーな鬼(雷?)娘こと「うる星やつら」のラムに敢えて触れたりしないのが、当ブログ“神宮寺真琴のつぶやき”である そんなわけで今日の話題は、新藤兼人監督の、その名もズバリ『鬼婆』である
私の大好きな新藤作品『裸の島』で哀感あふれるテーマを作曲した林光氏の手による、あまりにも刺激的なテーマ曲にまず圧倒される。南北朝時代、戦に駆り出された夫を待つ嫁と姑の2人組が、落ち武者を襲っては殺し、身ぐるみはいだ甲冑や武器を売りさばいて生計を立てる、という、全く潤いのない共同生活。そこへ夫(息子)の仲間であった若い男が転がり込んだからたまらない。嫁は男の誘惑に負け、今にもこの殺伐とした共同生活から離脱しそうになる。そこで見捨てられては困るとばかり、姑は夜な夜な鬼の面をかぶって二人を威嚇、この場に止まらせようと画策するも、件の鬼の面が姑の顔から離れなくなってしまい……というドラマが進行していく。
主人公である嫁を吉村実子、姑を乙羽信子が演じ、若い間男役はなるほどの佐藤慶が務めるという、キャスティングの妙が光る作品だ(冒頭の餌食になる落ち武者の一人が、『キングコング対ゴジラ』において「当方共倒れ、それが付け目です」の名台詞を吐いた大貫博士こと松井染升とこの度知ってこれも驚き!)。そんな中で、ドラマのキーワードを務める乙羽信子のメイクが凄い!