『ナチス・イン・センター・オブ・ジ・アース』
2014年完全観賞第二作がこれ。『ナチス・イン・センター・オブ・ジ・アース』! ここん所しょーもなさそうな“B級”洋画に惹かれてしまっているので、近く観る予定の『アイアンスカイ』の“露払い”のつもりで観賞した「ナチSFモノ」の逸品だ




この映画はまさに“名は体を表す”ではないが、まんま「ナチス」が「センター・オブ・ジ・アース」(とは行っても南極の地底)に「イン」していた、というSF作品だ。ただそのてんこ盛り感は単なる『アイアンスカイ』『センター・オブ・ジ・アース』の亜流のみならず、『ホステル』(行き過ぎの残虐描写・四肢解体)、『ゾンビ』、果ては『ターミネーター』の要素までもいびつに詰め込んだ、“闇鍋”のような“ごった煮”感あふれる作品に仕上がっている。
ストーリーは、終戦前夜逃げ延びたナチスの残党が、南極の地底に広がる未知の巨大空洞に移り住み、“第三帝国の復興”を目指し、再軍備と共にとある重要な研究を延々と続けてきた所へ、南極の観測隊クルーが迷い込み、あまりにも悲惨な体験をしつつ、結局ナチと戦う、ものだった。長い年月のために肉体が崩壊した当時のナチス将兵(だからガスマスクをハズしたら、みんな表情は『ゾンビ』)は、健常者の肉体を移植して生存を全うしてきたのだが、件の観測隊クルーの面々は、その肉体を“パーツ”としてむしり取られるという過酷な運命に直面する(ここら辺が『ホステル』っぽい)。そんなシチュエーションの中で、ナチ側で八面六臂の活躍を魅せるのが、かの“生きていた”ヨーゼフ・メンゲレ博士である。

これがメンゲレ博士。“影の主人公”といっていい存在感と活躍ぶりだった

こちらは拉致された観測隊クルー。額に切り込みを入れられ、この6秒後、悲惨
すぎる事態に………………(エグ過ぎてスチールを掲載できません

)




ユダヤ人と判れば、情け容赦なく瞬時に“処分”!

若い女は自由を奪って弄ぶ非道ぶり!
メンゲレ博士にはもう一つ重要な使命があり、科学者でもあるクルーたちを強制的に研究させるのだが、その目的はなんと……アドルフ・ヒトラーをサイボーグとして復活させるという『ブラジルから来た少年』もかくや、というトンデモな展開に向かって突き進んでいく。そうやって誕生したのが、最初に掲載しているスチールにあるように、サイボーグ(ロボット?)ヒトラーであった。

設定は無茶苦茶だが、意外にオリジナルに似た表情のヒトラー“ロボ”
この“ロボ”ヒトラー。前時代的なデザインのいびつなサイボーグと思いきや、かなりの敏捷性を誇り、全身武器。鉛のような身体で、主人公たちを執拗に追いかけ回す姿は、『ターミネーター』を彷彿させる。そして、世界征服用に建造した、超巨大円盤。きちんの鈎十字はペイントされているし、地底に建築したフォルクス・ハレ(聖杯神殿)の如き建物を割って出てくる所など、意外と芸が細かい。

“ナチのUFO”は『アイアンスカイ』のネタ。さてはパクッたな!
結局、『海底軍艦』における神宮司大佐の野望や、『ユリョン』の日本核攻撃よろしく、ナチUFOの野望もすんでの所で(しかも一個の手榴弾で)むなしく頓挫してしまうのだが……UFO墜落(ナチ全滅)後も、しっかり生き延びて主人公のクルーたちをギリギリまで追い詰める“ロボ”ヒトラーは『ターミネーター』第一作並みに怖かったぞ

世界観は広大であるべきなのに、低予算映画にありがちな何とも狭苦しい映像に少数のキャストなど、Bテイストに充ち満ちた作品だった。娯楽映画でありながら。あんまりカタルシスを感じなかったのは、残虐的要素の多さや、期待したナチUFOの都市破壊シーンのなさに寄るものだと思うが、例の“金曜日旧作DVD1本100円レンタル”の枠ならば大歓迎の映画だった。
でも次はもっと開放的で勧善懲悪な映画が観たいなぁ
