ヒロインアクションの行く末
最近、思うところもあって、『ワイルド7』、『裸の島』、『みろくの里』、果ては“ミッチェル”(往年のシネカメラ)等々、全然“ヒロインアクション”していない話題ばかりを書き連ねてしまった……(せめて「みろくの里」に隣接するオープンセットで撮られた『あずみ』のことでも書けば格好ついたのになぁ) そこで少しは“真面目にヒロインアクション”との思いで、今日は書いてみたい。
“広島発ヒロインアクションムービー”と銘打って、劇場版『電人ザボーガー』よろしく“針の先ほどの需要”で撮り始めた訳だが、一応この広島の地、そして東京で認知されたようではある。今回の上映会では観客動員の多さに比例して、多くの批判も戴いたが、それはまあ想定内のことだし、それ以上に多くの賛同を得たのは嬉しかった。『特命探偵☆葛城アキ』に関しては、続編を望むコメントも多く戴いた(きっと『天使諜報★神宮寺真琴』が三部作までいったから、当然「葛城アキ」も、と思ってくださったのだろう。確かに当初は「肉じゃが仮面の秘密を暴け!」なる続編サブタイトルも用意していたし)。ただし“ネット十字軍”の攻勢には結構堪えたけど……(当事者よりもその後ろに控えた“十字軍”の方が厄介だった……メールで頂けたら、ありがたい意見として心から真摯に受け止められたのに……)。
まあ何はともあれ、5作まで“ヒロインアクション”に特化した映画に関わることが出来た。さすがに“アクション”部分の弱さは毎度指摘されるが、私の描きたいのは“強くて優しいヒロイン”像であって、そんな主人公が圧倒的に強くさえいてくれたらそれでいい。申し訳ないが私にとって映画制作は趣味だ。それ以上でもそれ以下でもない。勿論その趣味は“人に観てもらう”までを含めているので、多くの方々に楽しんでもらうサービス心・鑑賞に堪えうる最低限の技術は維持してきたつもりだ。いつも書いているように“予定調和”“勧善懲悪”そして“意図してハズした笑い”全て計算づくで撮る。だって笑いって、映画の場合一番“ライブ感”を醸し出してくれる大切な要素だし。台本だって、じっくり考えさせる作品もあれば、単純明快な先が見えるご都合主義の映画だってある訳だから、そんな多様性はあっていいと思う。映画は“アート”と“娯楽”の両輪があってしかるべきだ。
ところで、私のような者が“ヒロインアクションムービー”を撮るのは、プロの世界に先達があってのこと。70~80年代を席巻した、志穂美悦子の一連の『女必殺拳』モノ、池玲子・杉本美樹らの『ズベ公』映画、『スケバン刑事』シリーズ、『少女コマンドーいづみ』、『セーラー服反逆同盟』、『こんな学園みたことない!』、『Vマドンナ大戦争』といった歴代の“東映系ヒロインアクション”は、“広島発ヒロインアクションムービー”の原点だ。ただ思う、当時のスタッフはどんな気持ちでこれらの映画・ドラマを撮っていたかと。もしかしたら仕事故“やっつけ”で撮っていたかもしれぬ。「俺はもっと高尚な映画が撮りたいんだ!」と“恨み節”を唱えていたかもしれぬ。しかし、中原昌也氏の言ではないが、そんな“やっつけ”感が逆にいい意味でこれらの映画・ドラマに“殺伐感”を与えてくれたのかもしれぬ。とにかくどれを観ても楽しいね
勿論、ウチの現場は“商業”ではない故、楽しくやっている。趣味なんだから、楽しくなければ撮る意味がない。ただし、上記したようにクオリティーは考えて撮っているつもりだ。内容の好き嫌いで批判はあろうが、上映に値しないような作品は絶対撮らない。だってキャリア四半世紀以上だもの
そう思うと、意外と俗にいう“ヒロピンドラマ”も似たような雰囲気があるのでは、なんて思う。予告編でかいま見る絶望的且つ凄惨な映像とは裏腹に、主演女優や監督のブログを見るにつけ実に明るく楽しそうだ。以前見たメイキング映像の現場っぷりなど、正直羨ましいばかり。そんなプラスのオーラがみなぎっているからこそ、異端ともいえる“ヒロピン”というジャンルが連綿と続いているのだろう。好き嫌いは別として……
好きな映画、好きなジャンルを、素敵なスタッフ・キャストと共に作り上げていく醍醐味を、許される限り続けていきたいな