神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“ヒロシマ”発ヒロインアクション

 去る8月6日には、いろんな“原爆特番”が放映されたが、その中でも興味深かったのが、故新藤兼人監督が生前『ヒロシマ』というタイトルの映画制作に執念を燃やし、広島市にスポンサーを打診した、というエピソードだった。実際には20億円ともいわれる制作費を、現在財政が逼迫している広島市が払えるはずもなく、結局立ち消えになったそうだ。正直、映画制作に於ける資金捻出は重大かつ重要な問題で、それを一地方自治体丸抱えでお願いするというのは、作品の意義は認めるものの、広島市民の私としてはいささか虫のいい話に思えた。ちょっと世知辛い言い方だけど……

 さて、その『ヒロシマ』だが、そこで新藤監督は原爆が炸裂する瞬間の数秒をいかに描くか、を作品のテーマに考えていたそうだ。実際、監督は『原爆の子』において、投下の瞬間をいろいろ象徴的な映像で描いていたが、もし最近の高度な特撮技術を駆使すれば、どんな映像になったか、そこには非常に興味を持った。

 実は私も今まで「原爆」をテーマにした作品を2本(86年『いつも見ていたヒロシマ』・91年『シューリンクス』)撮ったが、その中に登場する原爆投下及び爆発のシーンは、思い出すに、どちらも太陽に急ズームイン・急フェードアウトだったと記憶している。両方とも回想としての原爆シーンで、リアルに当時を再現する、といった趣旨のものではなかったからだ。

 自分の技術や資金力で当時の“廣嶋ヒロシマ”を再現する事は出来ないが、今を生きる我々にとっての“原爆”を描くことはまた可能ではないか。「“原爆”を安易にテーマとして利用したくない」「広島は“原爆”だけではない」との思いから、敢えて“ヒロシマ”なるものを意図的に割けての“広島発インディーズムービー”をここ十数年撮り続けてきたが、またこのテーマに真正面から向き合うことも必要なのでは、と思うに至った。

 尤も、それでも敢えて「原爆」「平和」と「娯楽」の融合、とりわけ大きな意味での「反核平和」と「ヒロインアクション」の融合をめざし、真の「ヒロシマ発ヒロインアクション」というカテゴリーを確立できたらいいと思う。決して“不謹慎”にならない程度で、尚且つ、構えなくても楽しみながら観賞できる作品を。

 これは大きなライフワークになるかも知れない。いつ実現するかわからないけど。
 
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