神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

“大和撫子”チョン・ジヒョン

 以前チャレンジしたものの、冒頭部分しか観られなかった“ヒロインアクション”ラスト・ブラッド(『Blood: The Last Vampire』)をついに“ラスト"まで見届けることができた。改めて全編を見通して、これは本当に上質の"ヒロインアクション"であると実感した次第だ(笑)
 
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 "鬼"と呼ばれる異種族(ヴァンパイア?)と人間側のヒロインハンター・サヤとの闘いを中心に、とにかくアクションに次ぐアクション、おびただしいまでの血糊が飛び交い、残虐度は半端ではない。事実私が最初に観たシーンでも、人間体から変異する前にサヤに一刀両断(文字通り!)される鬼が、団塊の世代の中年サラリーマン然とした姿だっただけに、単なる悪趣味の人体破壊劇のような気がして、その続きを改めてみるのに今まで躊躇していた、というのが実状だ。
 
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 しかしながら、その後の展開では、人間は殆ど殺傷されず(鬼よりも人間同士での殺し合いの方が多い)、鬼ばかりが一方的に斬りまくられる。その血糊もどす黒く、きちんと人間との差別化が図られていて、意外と"痛々しい感"は薄らいでいた。
 
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 さて、主人公・サヤを演じる韓流女優チョン・ジヒョンが実に素晴らしかった。“セーラー服に日本刀”というまさに“究極の日本文化”大和撫子の出で立ちを見事に着こなし、それでいて全く違和感がない。そのセーラー服も、何の理由も告げられず一方的に着せられてしまう設定も実にいい(笑い) そして目を見張るのがそのアクションシーン。とにかく圧倒的な強さで、鬼を斬って斬って斬りまくる! 50人斬り? 100人斬り? 数えるいとまも与えない大惨殺オンパレード。しかも相手を鬼と割り切ってみるから、彼女の強さのみが抜きん出て、とても清々しい。ジヒョン嬢は韓流映画でも“強い女”を演じてきたが、サヤ役はその比ではない。
 
 彼女が活躍する舞台も、ベトナム戦争真っ直中の1966年という設定で、何とも陰惨な雰囲気に包まれていて、その得も言われぬいかがわしさは、この作品の泥臭さに非常にマッチしていた。高度成長の栄華と戦争の暗い影が綯い交ぜの混沌とした雰囲気は、鬼が復活するにふさわしい、見事な設定だったと思う。また往年の和製クンフースター・倉田保昭サヤの指南役に抜擢したキャスティングの妙に拍手を送りたい。時代設定も相まって、まるで“昭和の映画の匂い”感じさせたもの。
 
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 物語は最凶の敵・オニゲンを倒しながら、まだ妙な後味を引き摺りながらのエンディング。サヤの旅はまだまだ続く、といった続編を匂わせるラストを感じさせたが、個人的にはもっともっとサヤの活躍を観たいと思ったね。
 
 だって、「強い女」「孤独」「セーラー服」「日本刀」といった、“アクションヒロイン”の要素を全て兼ね備えた無敵のヒロインなんだもの(笑)