広島が西武の“山賊打線”に打ち勝ち、連敗を2で止めた。田中広輔内野手(29)が決勝打&満塁弾で5打点の大活躍。西川龍馬外野手(24)は9回2死から歴代11位タイとなる27試合連続安打を放ち、大勝に花を添えた。昨年のセパ1位対決を1勝1敗とし、2位阪神とのゲーム差を再び4に広げた。
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 打席に向かう西川はうっすら笑みを浮かべていた。9回2死から鈴木の四球で巡ってきた打席。西武佐野の初球スライダーをたたいた。バッターボックス前で大きくはねた打球は投手佐野を超え、ハーフバウンドで捕球した二塁外崎が懸命に一塁へ送るも、内野安打となった。悪送球も重なり、西川は二塁まで進んだ。巡ってこないと思っていた打席で、歴代11位タイとなる27試合連続安打を達成した。
 「ちょっと恥ずかしい。(安打の形が)ぐちゃぐちゃだったので。最後みんなが回してくれて、何とか打ちたいと思った」。
 8回の打席で左飛に倒れ、連続安打は途絶えたかと思われた。だが、その後打線がつながり、9回2死も、鈴木が粘って四球を選んだことで打席が回ってきた。個人記録よりもチームの勝利を優先した  西川の献身性に、チームメートが応えた。2打席凡退で迎えた7回は無死一塁から初球を一塁線へ犠打を決めた。
 東出打撃コーチは「あれがうちの5番。あれが今のうちの野球。ご褒美でもう1打席回ってきたんじゃないか」とほほ笑んだ。野球の神様が味方したのかもしれない。西川は試合前、四方2センチ程度のおしぼりで試合用バットを磨く。「格好いいとかじゃないんですよ。何か打てそうじゃないですか」。神頼みのような験担ぎを続ける、ぴかぴかのバットから記録的な一打が生まれた。
 19年広島打線を象徴する“つなぎの5番”がつくった好機から終盤の猛攻が生まれた。7回1死満塁から決勝打を放った田中は、8回1死満塁からはグランドスラムで西川の最終打席につなげた。3回の先制点も、無死二塁から内野ゴロ2つで奪ったもの。選手個々の献身性が走者を進め、得点を重ねていくのが広島野球。チーム一丸の記録更新、今季交流戦初勝利だった。