今日は“受難”の日
今日は特別な日。そして受難の日でもある。
日本に投下された2発の核兵器「リトルボーイ」と「ファットマン」。直訳すれば「ちびっこ」と「ふとっちょ」だが、「リトルボーイ」はある種のスラングらしい。そしてその「リトルボーイ」を搭載したB29のニックネーム「エノラ・ゲイ」は確か乗組員の母親の名前だったらしい。何とも人を喰ったようなネーミングの爆弾・爆撃機が、現在までこれだけの悲劇と禍根を残すことになるとは……この“舐めた”ような名前が何とも恨めしい。
さて、こと広島の原爆禍に関しては、それなりの知識を有しているものの、それじゃ「ファットマン」を搭載したB29の名前は、というと、途端に応えられなくなってしまう。「8.9」は知っていても「11:02」の方は、昔は知らなかった。広島に続いて原爆が投下された、その事実以外には、あまりにもナガサキに関して無知だった……
ところで、この8月9日の原爆投下は、本当は北九州・小倉を第一目標にしていたことは有名な事実だが、たまたま小倉上空の天候が悪化していたため、急遽第2目標の長崎への投下が決定された。この北九州上空の天候悪化は、小倉市にとっては奇跡的幸運だったが、一方の長崎にとってとんでもない“受難”だったといえる。ましてこの2発目の原爆投下が、日本政府にポツダム宣言受諾を決意させて、以後二度と原爆がこの日本国土に投下されなかったことを考えると、その無念さはひとしおだろう。もっとも、それで小倉の幸運を責める気は毛頭なく、要はアメリカによる核兵器投下に全ての諸悪の根源があるわけだけれど……
かつて長崎出身の作家・林京子氏が、氏の著作『ギヤマンビードロ』にて、故郷・長崎が、鎖国時代唯一国外に開かれた町だった故に、徒に西洋文明に翻弄され、且つ島原の乱やこの原爆禍のような受難を受け続けていた云々と記述しているが。まさにその通りだと思う。そこら辺は、同じ原爆禍でも、広島とは大いに異なる背景が潜んでいると思う。
そんな長崎の72回目の原爆の日が、もうすぐ閉じようとしている………