神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

寅さんの長ゼリ

 今日、BSで渥美清の特集を放映していた。途中から観たもんで、ちょうどテレビドラマ『泣いてたまるか』から『男はつらいよ』に至るまでの経過が、彼の付き人であった石井愃一氏や「泣いてたまるか』を演出した、かの“ウルトラマンの直球ど真ん中演出”の飯島敏宏監督(ちなみに“ド変化球演出”は実相寺昭雄監督)、そして『男はつらいよ』の山田洋次御大によって語られるという、実に興味深い内容だった。
 
 もともと『泣いてたまるか』は、当時30分ものが主流だったTVドラマ界で、破格の制作費・数多の名監督を結集して、まさに“テレビ映画”として製作された、1時間ものの斬新なドラマだったらしい。その中で渥美清は毎回1話完結の別人格を演じ、類い希なる演技力を遺憾なく発揮したそうだ。思えば半世紀近く前の出来事だ。
 
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 その『泣いてたまるか』の最終話、脚本は山田洋次氏でタイトルは何と「男はつらい」! これが直接の理由ではないが、やがてTBSからフジに写り、新たに『男はつらいよ』がドラマとしてスタートし、それが松竹で映画化され、その後連綿と続く、映画界に燦然と輝く金字塔シリーズになっていくのである。
 
 私は実はそんなに『男はつらいよ』を見たわけではない。劇場で観たのも、京マチ子壇ふみが出演した『男はつらいよ 寅次郎純情詩集』一本だけだ。ただTVなどを含めて数回見たそんな『男はつらいよ』シリーズの中でいつも好きだったのが、劇中、寅次郎がとらやの面々に(食卓などで)自慢げに語って聞かせるシーンだった。大抵旅での出来事や、厚意を受けた“マドンナ”のことなどを、擬音や身振り手振りを交えて芝居がかって言って聞かせる長台詞の得意そうな姿は、その台詞の一部始終を記憶しているわけではなかったが、何となく真似て、一人悦に入ったものだった。本編では、大概、“蛸”社長の無遠慮な一言でその座が一気にしらけてお開き、という“テンプレ”だったけどね……
 
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 ただ今回の特集で、それは「寅さんの長台詞」として一般に認知されていることを知り、みんなもあの演技を楽しんでいたのだ、と思うと、何だか嬉しくなってしまったよ。
 
 アクションに特化したことばかり書いているけど、時にはこんな人情喜劇に思いを馳せてもいいと思ったね