神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

「ファイナルガール」は「ファーストガール」?

 おそらく、当初は低予算のB級“便乗”猟奇“サスペンス”として描かれたはずの『13日の金曜日』。クリスタルレイクのキャンプ場で、イチャついて監視を怠った学生のため溺れ死んだ息子・ジェイソンの仇を討つべく、直接関係ない宿泊客の大学生たちを次々血祭りに挙げる母親の狂気を描いた第一作では、少なくともホラーというより、前述の如きサスペンス作品だった。
 
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 しかしながら、作品のヒットに気をよくしたプロデューサーは、あろうことが前作の設定を反故にして、死んだはずのジェイソンが生きていた、という無茶なストーリーの下に、続編をこしらえてしまった(それでは、前作復讐に狂った母親の立場は何なのさ?)。そこで、ある種前作を無視したかの如き、ホッケーマスクの殺人鬼・ジェイソンが暴れ回るホラーシリーズとなり、彼の思いがけない人気も相まって、以後連綿と続くシリーズとなっていく。
 
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 このアンチヒーロー・ジェイソンの特徴は、何と云っても“死なない”こと。とにかくどんな事態(たとえば蛮刀で顔を真っ二つにされる等々)に陥っても、次回作ではケロッと登場する(勿論、制作会社の“大人の事情もあろうが……)。しかも、クリスタルレイクからニューヨーク、果ては宇宙にまで進出するなど、もはやSFの域に達したキャラクターに成長している。現在シリーズは実に12作を数え、ついには前々作で、東映の向こうを張った「VSシリーズ」・『ジェイソンvsフレディ』なる怪作まで誕生してしまった。
 
 そんな『13日の金曜日』の記念すべき第一作で、栄えある“ファイナルガール”を務めたのが、エイドリアン・キング。なにやら『ロッキー』にでも登場しそうな名前だが、かのクリスタルレイクの惨劇で一人生き残るなんて、過日触れた、最凶猟奇ホラー『悪魔のいけにえ』『悪魔の沼』の“ファイナルガール”、マリリン・バーンズと並び称されていい位だ。惜しむらくは、彼女の場合、シリーズ第2作『13日の金曜日PART2』の冒頭で、いきなりアイスピックでこめかみを貫かれ、あっけなく絶命するという“ファーストガール”(こんな呼称あるのかなぁ?)になりはてている点だろうか。まあ、ジェイソンの母親を退治して、その息子(ジェイソン)に息の根を止められた、って“因果応報”なんだけどね……
 
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 ちなみに、関係ない話だけれど、今からおよそ四半世紀前、映画の日にとある劇場で『グレインストーク』『ザ・キープ』『13日の金曜日 完結編』の3本立てを立て続けに観て、ぐったりして映画館を後にした記憶を、今想い出したよ……