神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

過酷な「ファイナルガール」

 “ファイナルガール”とは、ホラーなどの映画で最後まで「生き残る」娘のことらしい。幸か不幸か、2本続けて“ファイナルガール”を務めた女優がいる。“泣く子も黙る”SFホラー界の帝王トビー・フーパー御大の、その名を全世界に知らしめた究極の猟奇ホラー、『悪魔のいけにえ』・『悪魔の沼』の主演女優、マリリン・バーンズだ。
 
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 普通、昨今の猟奇ホラーでは、うら若き娘たちが謎の犯罪者の手にかかって次から次えと残虐に命奪われていく、という“フォーマット”があるだけに、そんな惨劇の中、最後まで生き残るキャラというのは本来幸福な役柄でなければならない。しかしながら、マリリン・バーンズ嬢の場合、そこまでたどり着く過程が、上記の2作品の場合、あまりにも“過酷”だったりする。
 
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 まず、『悪魔のいけにえ』では、同行の仲間たちが次々“狂気の家族”の血祭りに上げられる中、唯一生き残るが、それは件の家族に拉致監禁されたために過ぎず、自由を奪われたまま、チェーンソー片手の“レザーフェイズ”やその兄弟、そして生き血を啜るミイラ化しかけた彼らの祖父に囲まれるという、極限の状況に晒される。何とか家族の内輪もめの隙を見て“恐怖の館”を脱出するも、後方からチェーンソーを振り回す“レザーフェイス”に散々追っかけられ、すんでの所で偶然通りかかった軽トラの後部に飛び乗り(こんな“予定調和”も、このシチュエーションだから許してあげて!)、奇跡的に一命をとりとめる。尤も精神的には“破壊”されてしまっただろうな……ちなみに、生き残ったにもかかわらず、ポスターには彼女を称して「この美しい“いけにえ”の顔が激痛に歪む!」と書いてあるからたまらない!
 
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 続いて、『悪魔の沼』。たまたま深夜に家族で立ち寄ったモーテルのオーナーが、飼っているワニに人肉を喰わせる、というとんでもない親父で、夫を殺された(そして餌にされた)挙げ句、オーナーに入浴中襲われ、何とか娘だけ軒下に逃したものの、まんまと拉致監禁され、ベッドに縛り付けられたまま、恐怖の一夜を過ごす羽目になる。何とか最後は、行方不明(実はワニの餌になった)姉を捜してモーテルを訪れた女性にかろうじて救われるが、かの大怪優・ネヴィル・ブランド演じる狂気の男と過ごす一夜はさぞ辛かったことだろう……
 
 そんな訳で、単に「最後まで死ななかった」だけで、その実「ひと思いに殺された方がよっぽど楽だったろうに」と思われる役ばかり連続してこなした、件のマリリン・バーンズ嬢。色々と調べたところ、『悪魔のいけにえ』辺りからしばらく監督のトビー・フーパー御大と付き合っていたそうな。恋人に敢えて過酷な役を演じさせるのは、『鉄男』における藤原京塚本晋也監督の交際相手)や、『DOOR』における高橋恵子(ご存じ高橋伴明監督夫人の元“関根恵子”!)などと同じだが、恋人だからといってあんまり“甘えて”いると、いつか痛~い“しっぺ返し”を喰らうぞ
 
 ちなみに、マリリン嬢のプロフィールを拝見すると、今日に至るまで殆ど『悪魔の~』関連ばっかり。ある種“究極のファイナルガール”だったりする