神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

予定調和のボーダーライン

 毎週チャンネルNECOで放映されている『戦え!マイティジャック』。毎回低予算ならではの創意工夫に満ちた“チープ”さが気に入って、楽しんで拝見しているのだが、先日の第11話「消えた王女の謎を解け!!」はいささか首をかしげてしまう展開だった。
 
 ストーリーをかいつまんで説明すると………とあるアジアの某国より王女が来日する。その王女は国内の反体制派から命を狙われており、身の危険を感じての来日だったわけで、MJ隊員の源田がそのボディーガードを任命される。しかしながら、折角の来日で羽を伸ばしたい王女は彼の存在が疎ましい。そこで源田は王女のドレスに発信器をこっそりはり付け、距離を置いて護衛を続ける。
 
 そんな折り王女の姿が消えた! 慌てて発信器を頼りに王女を捜すものの、発信器のついたドレスを着ていたのは王女と縁もゆかりもない娘。どうも王女は源田のすきを突いて、その娘と衣裳を交換したらしい。手がかりを失い、天田隊長にこっぴどくしかられる源田。
 
 その頃、王女は浜でひとりぼっちで釣りをする少年と出会い意気投合、彼の誘いである遊園地でつかの間の休息を楽しむ。しかし、そこで二人に近づいてきたピエロは、実は反体制側のエージェントだった。彼は言葉巧みに王女を誘導し、園内の一室に拉致監禁してしまう。
 
 しかし、彼女らが遊園地にいることを察知したMJの面々は背広姿で園内に潜入、時同じくしてやってきた反体制派の戦闘員と死闘を演じながら王女を捜す。件の王女は少年の機転で部屋から救出されるものnの、再びピエロに捕まり、彼は観覧車に飛び乗り、ヘリで迎えに来た同士と落ち合うが、救いを求める少年の願いに一瞬躊躇したため、同士にあえなく射殺され、王女はその勢いであえなく観覧車から落下するものの、MJ隊員に抱きかけられプールに飛び込み、一命を取り留める(???) ヘリの反体制側同士は、天田隊長のライフルから発射された時限爆弾によって、哀れ空中の藻くずと消えてしまった。
 
 やがて、王女は執事と共に母国へ帰ることとなり、別れを惜しむ少年の声に振り返ることなく車を走らせるのであった……
 
 嗚呼……あらすじだけでエラく長い文章になってしまったが、本作でどうして私が首をかしげてしまったか言うと、ちょっと“予定調和”が過ぎるという点である。一言で言って、30分番組でCMを除くと正味23分に満たないドラマで、このストーリーはちょっと詰め込みすぎで“消化不良”を興してるんじゃないか、との感慨だ。
 
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 王女からして、「自らが命を狙われている」という危機感が感じられない。少年との交流も、ラストのあっけなさ(彼に対する王女のリアクション全くなし)を考えると無駄に感じられる。 彼の役回りは、王女を遊園地に導くこと(これきっとタイアップだろう……)と、敵側のピエロを改心させることなのだが、これだけならば、彼を登場させずとも、単なる王女個人の気まぐれ珍道中と、それに振り回される源田、というシチュエーションで十分だったと思う。
 
 またピエロのキャラもどっちつかずで曖昧だ。善人なのか悪人なのか、その葛藤が時間的制約故きちんと描かれていない。時間を言えば、彼がちょっと躊躇しただけで勝手に「この裏切り者」と射殺してしまうヘリの同士も性急すぎる。別にあからさまな裏切り行為なんてこれっぽっちもしていないのに……。その反動で、最上段の観覧車から落下した王女を、観覧車のハシゴにぶら下がった今井隊員(『ザボーガー』の山口暁!)が一緒に抱きかかえるように落下してプールに無事着水なんて場面も無茶すぎる。おそらく2人とも即死だよ!
 
 そんな訳で、時間的制約による無茶な、そして無駄な「予定調和」がちょっと度を過ぎて全編に満ちていた、という印象を、この回では強く感じた。確かに「予定調和」はドラマの尺を縮める効果的な手段であるし、物語を簡単にストレートに伝えるのにも適したテクニックである、と私も好意的に捉えているが、あまりにも安易に用いてしまうと、観客をしらけさせる結果に繋がってしまう“両刃の剣”だ。このことはいつも肝に銘じて映画制作を行っているが、こういういいサンプルに巡り会ったことだし、今一度物語を構築する際の“反面教師”にしていきたいと思う。
 
 もっとも、この回のドラマ、王女の執事役に“プロテ星人”(もしくは『帰マン』のナックル星人)こと成瀬昌彦、少年役に“ペロリンガ星人”(もしくは『超人バロム1』の白鳥健太郎)こと高野浩和が演じていて、同世代の特撮ファンにとってはスペシャルゲストといえる布陣だった。そういえば、王女役のシリアポールって、かの名曲「夢で会えたら」も歌ってるんだって……