神宮寺真琴のつぶやき~TBossのブログ~

ヒロインアクションの考察から、インディーズムービー・劇場映画の話題まで

広島発ヒロインアクションムービーの顛末

 “広島発ヒロインアクションムービー”と銘打って、今まで5本の映画が、所属団体イチヱンポッポフィルム作品として世に送り出された。
 
『令嬢探偵★モロボシアイ~広島より愛をこめて~』
『天使諜報★神宮寺真琴~狙われた生徒会長~』
『天使諜報★神宮寺真琴~市民の敵は場外へ飛ばせ!~』
『天使諜報★神宮寺真琴~シンデレラの懸賞金~』
『特命探偵☆葛城アキ~郷土の怒りをぶちまけろ~』
 
 うち『モロボシアイ』に関しては、申し訳ないがあまり思い入れがない。なんか体のいい出資者兼制作進行をやらされただけ、という思いが強く、結果大きな借金が残っただけだった。主演女優は東京から招いたプロダクション所属のタレント(一応ノーギャラ)だったが、舞台挨拶をお願いしようにも当時“ストーカー”被害にあって来場のPRも出来ない。それでも“来場PRなしてプロデューサー(私)の資金で招待してほしい”などと理不尽な要求がこっちのスタッフから出されたが、思い入れがない故拒否、当然ながら上映会も大赤字だった。
 
 ただメリットはあった。東京のノリで平日に何人ものキャスト(エキストラ)を要求してくる、これまた東京から呼んだ制作スタッフの理不尽さを、多くの広島の演劇・映画関係者が必死にサポートしてくれた。その時の縁がきっかけで、その後、私自身が監督を務めての映画制作が可能となった。『天使諜報★神宮寺真琴』だ。
 
 最初こそ、現場で「よーいスタート」もいえない“形ばかりの監督”だったが、2作目の「市民の敵は場外へ飛ばせ!」からは本格的に撮影・編集・監督を一手に引き受けるようになり、それは次回作「シンデレラの懸賞金」まで続いた。
 
 件の舞台挨拶に関しては、今回はトラブルはなかったものの、芝居の関係で、主演が舞台挨拶に来たのは2作目のそれも上映前の短い時間のみ。多忙を極めているのに、別の団体のイベントでなんともぎりをやっていたり、遠路はるばる他都市の上映会に舞台挨拶にいったりするのをみるにつけ、よっぽどウチの上映会には縁がないんだな、と思うことしきり。
 
 やがて「新たなヒロイン」をと始めたのが『特命探偵☆葛城アキ』。態勢は『神宮寺真琴』と変わらないものの、広島ではなく近郊の都市・呉でのロケで、結構大変だった。また、キャストのドタキャンもあったり、精神的には結構きつかったけど、クランクアップは嬉しかったし、上映会でも思いの外多くの方に観ていただき、笑いや拍手まで戴いたので、舞台挨拶では胸がいっぱいになり、言葉に一部詰まるくらいだった。ちなみに主演は……やはり当日市内に不在で……もう慣れっこになったけど。
 
 相変わらず“憧れ”の主演舞台挨拶は叶わなかったものの、嬉しい余韻に包まれて、しばらくは幸福感に身をゆだねようとしていたが、そこに思わぬ落とし穴があった。
 
 映画の批判はよくある。そんなものにいちいち目くじらを立てていたらきりがない。しかし、それなりに発言力も影響力もある方から、理路整然と批判を受け、それが多くの人の目に晒され、それを承認する「イイネ」がいくつも推され、その批判の尻馬に乗った批判書き込みが続く現状には衝撃を受けた。「イイネ」の中には、“盟友”と思っている方の名もあったのはショックだった。もうすでにこの作品を見た人ならばまだしも、まだ観たはずもない人まで批評に「イイネ」を押す恐怖。しかも、それが悪意に満ちた者の所作ならまだしも、おろらくそんな了見で書いたのではないはず、と思うにつけ、私だけが見るのならまだしも、それが何も知らない者の目に触れて一人歩きするのが怖い(その記事も平文でオープンだったので、私もここにオープンに書きました)。
 
 私はヒロインアクションが好きだ。予定調和の台本も、緩い演技も、勿論狙って撮っている。キャストへのリスペクトも忘れていないつもりだ。その緩さで笑いを取るのが狙いだし。B級だからといって手を抜いているのではなく、精一杯頑張ってそんな演出をしたつもりだ。事実、この映画を気に入ってくれている人も多い。事実、『天使諜報』の主演も、女優個人ではなく“神宮寺真琴”のキャラとして東京の監督のオファーを受けているのだし、決して役者の将来の芽を摘むような非道いことはしていないつもりだ。
 
 今、こんなことを書いて、もしかしたらもう映画が撮れなくなるかもしれない、そんな危険と覚悟とを胸にしたためたつもりだ。黙殺も結構。ただ、私は今の、今行っているような映画を撮りたくて、現在は制作活動を続けているし、ヒロインアクションに特化したブログを続けている。もう私の許から誰もいなくなるまでは、意地でも映画を撮り続ける、そんな思いを新たにしている。